【ボート】引退する沼田嘉弘に直撃

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 8月2日、尼崎ボート最終日第9Rを最後に、沼田嘉弘(54)=兵庫・52期・B1=が現役を引退した。今年4月まで兵庫支部長を勤めたベテランレーサーに引退を決めた時期、心境から引退後の予定などを直撃取材した。

  ◇  ◇

 -引退と聞いて、ちょっとびっくりしました。

 「何年か前からエンジンに対する感覚やレースに対する感性が鈍くなってきた。それに体力が落ちてきたこともあって、モチベーションがなかなか上がってこんかった。ボチボチかなと思っていた時に、ヘルニアが悪化しだして…」

 -それはいつごろのことですか。

 「昨年かな。病院に通って治療をして、痛みがひけばええと思ってたんやけど、今年の春先から痛みがひどくなって。レースに集中できなくなってきて」

 -けがの影響というのは具体的にはどのような、ものですか。

 「ここ数年勝率も4点を取るのが精いっぱいで、自分にとってもジレンマでね。けがの様子をみて良くなればと思ったんやけど、年齢のこともあり良くなる見込みはないなと。兵庫の副支部長、支部長と合わせて約10年やらせてもらったんですが、この4月でそれも引き継ぎが終わって。ひとつの役目を終え、いろいろなタイミングが合ったんやと思う。この辺りが限界かなと」

 -引退節の前の住之江では優出(6着)。まだまだいけると思うんですが。

 「あの時はエンジンが出てたからね(笑)」

 -2日を最後に引退。その次の節は地元レーサーが集まるお盆レースがある。そこで引退をということでも良かったのに。

 「いやいや、恥ずかしかったので(笑)そう言う話もあったんですが、いろいろ周りにやってもらうのが苦手で、あえてはずしてもらいました(笑)」

 -1983年、5月9日がデビュー。約32年間の現役生活を振り返って、印象や思い出に残ることは。

 「僕が入ったころは、兵庫が弱小軍団と呼ばれていた時代やって。今はA1レーサーがたくさんいて、SGを制した選手も何人かいる。全国的に見ても高いレベルの支部になったね。自分が役に立ったかどうか分からんけど、その一員になれてうれしい」

 -何かやり残したことはありますか。

 「いや、32年もやったからね。やりきった感はあるよ(笑)」

 -今後の予定は。

 「まずは腰を治すことからやね。身体のコンディションを整えてから、セカンドライフをどうするか考えたい。今は何もまだ決めてないよ」

  ◇  ◇

 常に機力向上のための整備や調整に熱心に取り組んでいた沼田氏だが、引退節の尼崎ではいつも以上に入念に本体整備に取り組んでいる姿が印象的だった。それは32年間で得たありったけの整備技術を、全身でぶつけているように見えた。取材ではベテラン、若手記者関係なくいつも優しく、分かりやすく、時にユーモアたっぷりに対応してもらった印象しかない。まずは身体をゆっくり休め、それから第2の人生を楽しく、豊かに過ごされますよう。沼田さん、長い間お疲れさまでした。(関西ボート担当・西脇由利)

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