福永祐一の騎手人生に幕 「天才ではなかった。一番応援してもらった騎手かな」

 「サウジCデー諸競走」(25日、キングアブドゥルアジーズ)

 3月から調教師に転身する福永祐一騎手(46)=が25日、サウジアラビアで2鞍に騎乗し、ラストライドとなったリヤドダートスプリントでは日本馬最先着となる3着に導いて巧腕を示した。国内外で2719勝を挙げたトップジョッキーは今後、トレーナーとして第2の人生を歩んでいく。また、サウジCはパンサラッサが見事に逃げ切って世界最高賞金を獲得。その他GⅢ2戦でも日本馬が勝利し、中東で日の丸をはためかせた。

 キャリア27年の最終章-。悔いなく、そして無事に。福永がサウジアラビアの地でジョッキー人生最後の日を終えた。

 エコロアレスに騎乗したサウジダービーは積極的に運ぶもブービー12着。しかし、ラストライドとなるリヤドダートスプリントで見せ場をつくった。相棒のリメイクとともに道中は後方に構え、満を持して直線へ。快調に飛ばし、なおも勢いを増すエリートパワー、ガンナイトの米国馬2頭にこそ届かなかったが、日本馬最先着となる3着に導いた。

 「負けましたけど、悔いのない騎乗ができました。オーナーも“いいレースをしてくれた。見に来て良かった”と言ってくださったので、騎手冥利に尽きるというか、うれしかったです」。下馬すると脱鞍、後検量をじっくりかみしめるように行った。「これで終わりかぁ…と。いろいろあったなって思った。アッと言う間ではなかった」。潤んだ目で中東の夜空を見上げながら引き揚げた。

 落馬で意識不明の重体となり、騎手の道を断たれた父・洋一さんは“超えられない”と尊敬する存在だ。競馬学校の入寮前には、騎手になることを反対した母・祐美子さんから父の記事をまとめた数冊のノートを手渡された。「無事に務め上げることが最大の孝行と思っていたので。長い間心配をかけ続けて親不孝してきたなと思いますけど、一つ肩の荷を下ろしてあげることができるのかな」。両親を思い、言葉を詰まらせた。

 『天才ジョッキー』。中学校の卒業文集で10年後の自分を、そう記した。リーディング獲得、悲願のダービー制覇、無敗の3冠達成、史上最長の13年連続年間100勝-。「天才ではなかった。一番応援してもらった騎手かな(笑)。俺ほど応援してもらった騎手はいないと思う。お客さん、関係者、いろんな人に応援してもらったなぁ…って」。積み上げてきた偉大な記録とともにこみ上げる万感の思い。人と馬に愛されたジョッキーが、静かにステッキを置いた。

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