【北九州記念】ボンボヤージ大金星 梅田師「伊藤(雄)先生とファンタジストが後押し」
「北九州記念・G3」(21日、小倉)
天国に届ける大金星だった。16番人気のボンボヤージは内枠を生かしてロスなく回って抜け出すと、単勝164・3倍の低評価をあざ笑うかのように、人気馬の追撃を完封。17日に老衰で息を引き取った伊藤雄二元調教師から厩舎を引き継いだ梅田厩舎の5歳牝馬が、天国からの追い風を受けて重賞初制覇だ。
廣崎利洋オーナーとの縁も厩舎を引き継いだ時からとあって、梅田師の喜びもひとしおだ。志半ばで天国へ旅立った全兄ファンタジスト(19年京阪杯で競走中止後に急性心不全で急死)にも触れ、「長いこと調教師をやっていて、単勝万馬券は何度もあるけど、今回ばかりは本当にびっくり。伊藤先生とファンタジストが絶対に後押ししてくれたと思う。物語ができていたね」と感慨深げに喜んだ。
7年ぶりの重賞勝ちとなった川須は「オープンでは足踏みしていたけど、差しに徹する脚質転換がうまくいきましたね。久々に重賞を勝ててうれしいです」と笑顔。指揮官も「完璧に乗ってくれた」と鞍上を絶賛だ。
今後はセントウルS(9月11日・中京)や、スプリンターズS(10月2日・中山)の参戦も視野に入れる。「課題はメンタルだけで、これぐらいは走れるポテンシャルはあると思っていた。証明してくれた」と師。天国からの追い風で勢いに乗った孝行娘は、名伯楽と兄の思いも胸に今後も物語を紡いでいく。


