陣営の海外挑戦も糧に誕生した最高傑作コントレイル
「魁!海外馬券塾」(21日)
私が海外遠征に最も多く帯同させてもらっているのは、馬主(牧場)ではノースヒルズ、厩舎では栗東の矢作厩舎だ。強い馬が出ればためらいなく挑む陣営なので、声を掛けていただく機会も多い。
ノースヒルズではトランセンドのドバイWC2着(11年)、トレイルブレイザー(12年)のBCターフ4着、キズナの凱旋門賞4着(13年)ラニのベルモントS3着(16年)など好走は多いが、海外G1の勝利はない。矢作厩舎ではリアルスティール(18年ドバイターフ)とリスグラシュー(19年コックスプレート)で手にしたが、初期の遠征では悔しい結果が続いた。
両チームに共通するのが、敗戦を悔いることなく、前を向き次の挑戦への糧とする姿勢だ。好循環が多くの名馬を育てる原動力となり、ついにこの陣営から最高傑作のコントレイルが現れた。
菊花賞当日は京都競馬場に行き、コントレイルが走る姿を見たかった。20年の競馬が普段通りに行われていたら、ディープインパクトが勝った日と同じぐらいの盛り上がりを見せていたのではと思う。
競馬を全く知らなかった知人がコントレイルのレースを動画で見て、当日は彼を応援してくれるという。知名度において無観客のハンデを背負いながらも確実に競馬界の枠を超えたスーパースターになりつつある。(海外遠征コーディネーター・田中敬太)