【平成G1波乱プレーバック】平成24年天皇賞・春 ビートブラック
「平成24年天皇賞・春 ビートブラック」
数多くの名勝負が生まれた平成のG1。その中でも過去に波乱に終わったレースを振り返る。
単勝1・3倍という断然の支持を集めたオルフェーヴルがまさかの末脚不発。淀の芝3200メートルで前年の三冠馬がもがき苦しむなか、積極果敢なロングスパートが大金星をもたらした。
春盾史上最低となる14番人気でVを射止めたのはビートブラック。当時、デビュー10年目だった石橋脩は「信じられない。厩舎の方がしっかり仕上げてくれたし、馬も頑張ってくれた。ラッキーでしたね」と、満面の笑みで自身のG1初制覇を喜んだ。
戦前に注目されていたのは栗毛の怪物。しかし、石橋脩は「オルフェーヴルも含めて、他馬のことは特に意識していませんでした」と振り返る。テン乗りで挑んだG1舞台。「思い切って後続を離した時に“ハマる”イメージがあった」と、残り1000メートルから仕掛ける大胆騎乗。あえてライバルを“無視”する戦法が、前の止まらない高速馬場と完全にマッチした。
後続を一気に引き離した場面ではセーフティーリードにも映ったが、「余裕なんて全然なかった。だって、今までG1を勝ったことがないんですから。直線は無我夢中で追っていました」。結果は4馬身差の圧勝。ディープインパクトのレコードにコンマ4秒差に迫る3分13秒8で、青毛の馬体が駆け抜けた。