【平成有馬列伝】13年オルフェーヴル 池添が黒子に徹した黄金伝説最終章

 平成時代の有馬記念名勝負を振り返る「平成有馬列伝」。平成の名馬は数あれど、オルフェーヴルほど記憶に深く刻まれる逸話を残した馬はいないだろう。史上7頭目の三冠馬に輝いた一方で、デビュー戦や菊花賞のゴール後に鞍上を振り落とすなど傍若無人の振る舞いは多々。4歳時には阪神大賞典で大逸走から2着挽回。初挑戦となった凱旋門賞では、完全に抜け出しながら悪癖を出して快挙を逃した。

 しかし、何かとフィーチャーされた黄金の怪物の物語は、平成25(2013)年12月22日、ついに有馬記念で最終章を迎えることになる。「まさか乗れるとは思っていなかったので、乗れると分かった時はうれしかった」。主戦・池添は当時の心境を明かす。2度目の凱旋門賞挑戦(2着)後、引退が既定路線に。スミヨンに手綱を譲ったあと、再び自分に戻ることはないと考えていただけに、万感の思いが巡った。

 同時に、押し寄せてきたのは重責だ。「引退式もあったから負けられないという気持ちでした」。馬とのリズムを保ちつつ、3角から進出。4角ではもう先頭に立っていた。あとは独走。結果的に自身最大着差となる8馬身の圧勝劇となったが、池添はガッツポーズを繰り出すことなく、静かにフィニッシュした。

 「(最後の直線で)勝てるというのはもう分かりました。ただ、何をするか分からない馬。馬を止めるところまで、気を抜かず乗っていたんです」。最も強い姿を見せつけるとともに、最後までお行儀良く締めくくったラストラン。その裏には、黒子に徹した池添の我慢があった。

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