【医師の見解】落馬で頭蓋骨骨折の福永騎手は”最低でも1週間は絶対安静”

 福永は落馬後も騎乗し、10Rでは勝利を収めた
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 神戸新聞杯(23日・阪神11R)でダービー馬ワグネリアンとコンビを組む予定の福永祐一騎手(41)=栗東・フリー=が、16日の落馬で頭蓋骨骨折、気脳症と診断されたにもかかわらず、今週末も騎乗する見込みであることが分かった。

  ◇   ◇

 脳から脊髄、人間の中枢神経は、頭蓋骨や脊椎などの骨と、さらに硬膜という丈夫な何重もの覆いによって保護されています。しかし、今回の落馬事故のように頭蓋骨が破損すると、硬膜にも亀裂が入り、そこから空気が入ってしまう。そんな外傷が「気脳症」です。

 空気が入るだけなら良いのですが、逆に中から髄液が漏れ出す髄液漏に進展する可能性もあります。脳神経科学的に言えば、気脳症は硬膜破損を伴った頭蓋底骨折が副鼻腔などに達し、頭蓋内と外界が外耳孔などを通じて交通しているということで、非常に危険な状況になってもおかしくありません。

 直後のレースに騎乗したという話ですが、私に言わせればめっそうもないことで、最低でも1週間は絶対安静で、経過を見なくてはいけないと思います。手術などの特別な治療は必要ないとしても、安静だけは譲れません。来週も騎乗するなんて、もう一度落馬したらどうするんだ?ということです。

 この先を考えて、今を大切にしておかないと。騎手生命に関わる大けがなのですから、決して無理をしないように、周囲の皆さんが危機感を持って対応していただきたいと、心から望みます。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤プラセンタ学会会長。

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