【菊花賞】キセキ天晴れV!極悪馬場で末脚爆発 ミルコは牡馬クラシック完全制覇

 「菊花賞・G1」(22日、京都)

 台風21号の接近により、史上まれに見る極悪馬場での決戦となった牡馬クラシック最終章。1番人気のキセキが力強い末脚で豪快に抜け出して2馬身差のVを決めた。M・デムーロは菊初勝利で“三冠ジョッキー”に。角居師はかつて管理したルーラーシップの産駒で、現役単独トップとなる菊3勝目を決めた。10番人気クリンチャーが2着、13番人気ポポカテペトルが3着で、3連単55万9700円はレース史上最高配当となった。

 終わってみれば、やはりこの男が持っていった。暴力的なまでの大雨が、容赦なくたたきつけた淀の直線で、大外を豪快に突き抜けたのは1番人気のキセキ。白地の勝負服を黒く染めた鞍上のM・デムーロは、既にゴール前で、何度も左手を掲げて喜びを爆発させていた。菊花賞初Vで、牡馬クラシック完全制覇を達成。勝負強い“G1ハンター”に、また一つ勲章が加わった。

 「最後までずっといい走りをしてくれました。楽勝でしたね」。03年には3冠が懸かったネオユニヴァースで3着敗退と、菊には苦い思い出もあったが、今回の戴冠劇で払拭(ふっしょく)した。

 ミルコが「ヨーロッパでも珍しい」と言うほど超が付く不良馬場。道中は課題の折り合いに専念し、後方の外めを追走。2周目の坂の下りからゴーサインを出して進出を開始すると、力強い末脚を繰り出してライバルをひとのみにした。「ずっと外を回って4000メートルくらい走っていたかも。賢くて素晴らしい。本当は2000メートルくらいで、きれいな馬場がいい馬。きょうは奇跡だと思いました」。過酷な条件を見事にクリアしたパートナーをたたえた。

 現役トップの菊3勝目を飾った角居師にとっても特別な1勝だ。これが父としてG1初制覇となったルーラーシップは、かつての管理馬。現役時代、香港での勝利はあったが、国内でG1タイトル奪取はならなかった。「父として、ちゃんと答えを出してくれた。こういう大きな舞台で1番人気に応えてくれた。奇跡のような競馬でした」。類いまれな成長曲線を描いて、夏の上がり馬が菊の大輪を咲かせた。

 今後は未定だが、「これで大きいレースをずっと使えていけますね」とトレーナーの夢は膨らむ。極限のスタミナ勝負を制したからには、欧州遠征の話も出てきそうだ。どんな軌跡を歩むにしろ、まだまだ伸びしろを感じさせるキセキの未来は限りなく明るい。

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