「有馬記念・Ｇ１」（２８日、中山）

　２５日に行われた“枠順ドラフト”で、ジャスタウェイの馬名がアナウンスされたのはブービー１５番目。陣営は努めて前を向いたが、８枠１５番だけにロスのある競馬を強いられるシーンは十分に考えられる。世界Ｎｏ．１のレーティングを持つ底力で、引退の花道を飾るか。またＧ１連勝を狙うジャパンＣ覇者エピファネイアも７枠１３番と、陣営の希望通りの枠とはいかなかった。これまで以上に折り合いが鍵を握りそうだ。

　枠はもう帽色ピンクの２つしか残っていなかった。ようやくレーティング世界Ｎｏ．１ジャスタウェイの名が出てきたのは“ブービー”の１５番目。大外枠で最後に枠入りする権利を取るか、それとも１つでも内に入るか。カメラの前に立った福永に迷いはなかった。

　選択したのは１５番。「あれこれ考えていたんですけどね。もう選べないんじゃないかとも思っていました」。抽選開始から３０分以上名前が呼ばれず、苦笑いを浮かべていた。「最後入れ（の１６番）も考えたんですが、そんなに変わらないかと。それに須貝先生がエピファネイア、ゴールドシップ、ジャスタウェイと（有力馬が）並んだらはまりがいいんじゃないかと言うんで」と残された２枠から選んだ理由を説明した。

　「いいよ。どこでも。枠がこういうふうに決まるにしても、コンピューターの抽選でもこうだったかもしれないし」。須貝師も歓迎とは言えない表情だ。それでも「これも神様が決めたこと。これも運。あるいはいい方に転がることがあるかもしれない。前向きに考える。馬の具合はとてもいいんだから」と努めて前を向いた。

　須貝厩舎の馬房では、ゴールドシップとずっと隣同士。この秋には一緒に渡仏もした。「この２頭はずっと仲良しで歩んできた」。木曜の朝、須貝師は馬房から首を出して見つめ合う２頭を前に、しみじみと話していた。仲良しの同期生の隣枠で迎えるラストラン。多少外の不利など、はね返して世界一の走りを見せつける。