【セントウルS】ハクサン鮮やか大金星

 「セントウルS・G2」(8日、阪神)

 2番人気ハクサンムーンが、鮮やかな逃走劇で大金星を挙げた。アイビスSDに続き重賞を連勝し、サマースプリント王者に輝いた。馬主に3200万円、厩舎関係者には800万円の褒賞金が贈られる。単勝1・4倍の1番人気に推されたロードカナロアは2着惜敗。なお、サマージョッキーズシリーズは岩田が初優勝した。

 真っ先にゴールを駆け抜けた瞬間、鞍上の酒井は左拳を握り締めた。ハクサンムーンが、持ち前のスピードを発揮しロードカナロアを完封。栄えあるサマースプリント王者の座を手に入れた。

 大金星だ。酒井が誇らしげに振り返る。「直線ではギリギリまで待ってから追い出そう、と。後ろから(カナロアの)気配を感じたので、そろそろかなと思って仕掛けたが、しっかりとしのいでくれた」。スタートこそひと息だったが、二の脚を生かしてハナへ。いつも通りのポジションでマイペースを貫いた。3番手追走のロードカナロアが直線で猛然と迫ってきたが、手応えは余力十分。首差でしのいだところがゴールだった。「強敵を打ち負かせてうれしい」とほおを緩ませる。

 馬場入りの際に好調のサインを見せた。騎手を振り落とさんばかりにグルグルと回る独特の癖を披露。「気の強さというか、自分の世界を持っている馬。あれでも(癖は)マシにはなったんだけど…」と西園師は苦笑い。「馬場が渋ると良くないと思っていたが、日が照ってくれたので、こちらに風が吹いたと思ったね。(酒井)学が我慢してうまく乗った。意義のある競馬でした」と人馬の激走をたたえた。

 次走はスプリンターズS(29日・中山)。厩舎で調整したのち、G1初制覇を目指して東上する。「次もチャレンジャーのつもりで。良馬場ならロードカナロアとまた、いい競馬ができると思う」と指揮官は再度の王者撃破に意欲を示す。夏を全力で駆け抜けた個性派が、この先さらなる高みを目指す。

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