【マーメイドS】マルセ桜花賞以来のV
「マーメイドS・G3」(9日・阪神)
56キロのトップハンデを背負ったマルセリーナが直線抜け出し、11年の桜花賞以来2年2カ月ぶりの勝利を挙げた。ハンデ頭の勝利は初めて。メンバー唯一のG1ホースが貫禄を示した。逃げ粘ったアグネスワルツが2着、1番人気のアロマティコは3着だった。
タッグを組んでいた“天才娘”の死が、川田を奮い立たせた。トップハンデ、実績のない距離、それに大外枠。過酷な条件を克服し、マルセリーナを11年の桜花賞以来2年2カ月ぶりのVゴールへ導いた。
先月29日。ヴィクトリアマイル(4着)で手綱を取ったジョワドヴィーヴルが、鳴尾記念へ向けての調教中に左下腿骨開放骨折で安楽死処分となった。栗東CWの4コーナー、痛々しい姿で立ちすくむ11年の2歳女王を、遠くから険しい表情で見ていたのが川田だった。
「同じ厩舎の馬、ジョワドヴィーヴルの分まで…」。思いが通じたかのように、スムーズなレース運びで勝利を手にした。中団で流れに乗り、4コーナーでは持ったままで先団へ。直線の急坂でひと伸び。二枚腰で粘るアグネスワルツを、ゴール手前で差し切り、トップハンデが勝てないジンクスを打ち破った。「牝馬限定とはいえ、2000メートルをよくこなしてくれました」とパートナーをねぎらった。
松田博師は「牝馬相手なら2000メートルでも通用するが、男馬相手だと厳しい」と語った。今後については「決めてない。でも、賞金を加算できたんで、使いたいところに使えるからな」。コメントは素っ気ないが、連敗続きで気をもんでいた桜花賞馬の復活に、指揮官の表情は明るかった。