【フェブラリーS】二刀流ブラックヒル

 「フェブラリーS・G1」(17日、東京)

 日本ハムのドラフト1位・大谷翔平投手に先駆けて“二刀流”を成功してみせる。ダートに初挑戦する芝のG1馬・カレンブラックヒルが13日、栗東坂路で豪快な走りを披露。今年初戦となるが、好仕上がりをアピールした。平田師も秋山も初の舞台に“不安なし”を強調。昨年春のNHKマイルCで無敗のままG1を制した逸材が、世代交代の進むダート界で歴史的Vを狙う。

 ダートが合わないはずがない。前肢で鋭くかき込み、後肢で力強く蹴り上げる。カレンブラックヒルが豪快な走りで好仕上がりを伝えた。栗東坂路でハーデス(3歳未勝利)との併せ馬。降雨の影響を受けた力のいる馬場状態も何のその、パワーも兼備する芝のG1馬はまるで苦にしない。4F52秒9‐38秒6‐12秒6をマークし、余裕の手応えのまま、1秒9の大差先着を決めた。

 またがった秋山が満足げに話しだす。「もともと動く馬なので。変わりなく順調だと思う」。最終追い切りは栗東CWコースで行うのがこの馬のパターンだったが、今回は珍しく坂路追いに切り替えた。「もうコースでやらなくていいという厩舎の判断です。今回は牧場でも乗っていましたから。同じ放牧明けでも毎日王冠(昨年10月1着)より仕上がりがいい。間隔があいてもマイナスにならない馬だから」。天皇賞・秋以来、3カ月半ぶりの実戦ながらも仕上げに胸を張った。

 ダートは初参戦だ。過去にJRAの芝、ダートの両G1を制した馬はわずか4頭だけ。これまでに初ダートがG1だった馬は21頭を数えるが、3着が最高(01年フェブラリーSのトゥザヴィクトリー)と壁が高いことを歴史は物語る。それでも「やってみないと分からないけど、この馬の能力を発揮すればこなせると思う」と、主戦は前向きに話す。

 マイルの距離が自信を深める理由でもある。「毎日王冠、天皇賞(秋)と挑戦して、2000メートルは若干長いかなと思った。千六の方が折り合いを気にせず走れる。スピードのある馬でスタートも速いので、前でレースができれば」。デビューから6戦5勝。唯一黒星を喫したのは天皇賞・秋の5着だけで、マイル戦では依然、4戦無敗のパーフェクトを誇る。最も得意とする距離なら、未経験の舞台でも克服可能と見込んでいる。

 昨年春のNHKマイルCで、デビュー16年目、JRA・G1を55度目の挑戦でようやくビッグタイトルを手にした苦労人だ。Vの瞬間を共有した相棒にほれ込んでいる。「手前を変えるときに体がぶれない。運動神経がいい」。高い性能を誇らしげにして、「ブラックヒルの能力を信頼して長所を生かしたい」と力を込めた。二刀流なるか‐。戦国模様のダート界に足を踏み入れる新参者が歴史の扉を開く。

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