【有馬記念】豊ブレイザーで3度目Vだ

 「有馬記念・G1」(23日、中山)

 マイルCSで約2年ぶりのG1勝利を飾った武豊騎手(43)=栗東・フリー=が、3度目となる暮れのグランプリ制覇を狙う。オグリキャップ、ディープインパクトなど、数々のドラマを演出してきた舞台。今年、コンビを組むのはトレイルブレイザーだ。前走は米国競馬の最高峰・ブリーダーズCに参戦し、ターフで4着に奮闘した。サンタアニタパークから中山に舞台は変わるが、大一番でのV奪取に力を込める。

 オグリキャップの奇跡の復活劇、そしてディープインパクトのラストランV。武豊は有馬記念で名シーンを彩ってきた。暮れのグランプリ騎乗はデビューした88年(スーパークリーク)の初騎乗から今年で23回目だ。その場にいなかったのは、94年と10年(ローズキングダムが出走取消)のわずか2回だけしかない。

 競馬ブームを支えたオグリ。90年にはその有終Vを飾った。競馬史に刻んだドラマは、自身の胸にも深く刻まれている。「VTRの再生回数が一番多い有馬記念なんじゃない?ウイニングランを終えて、右手を上げたら“ワー”、左手を上げたら“ワー”って。中山競馬場に17万7千人のファンだからね。とにかくすごい歓声だった」。20年以上の月日が流れても鮮明に覚えている。

 今年はトレイルブレイザーとのコンビで臨む。前走のブリーダーズCターフ・米G1では4着に入った。「3角からいい雰囲気で上がってこられた。タイミング良く抜け出すのが、この馬の勝ちパターン。直線が短いのを意識して勝負をかけたし、4角では勝ったと思ったけどね。ただ、上位馬は海外のG1ホース。世界の一線級相手に、あれだけのレースができたんだから力は示したよ。今や日本よりも世界の方が(この馬の)評価は高いんじゃないかな」。改めて感じた能力の高さ。悔しさをにじませながらも手応えを口にする。

 ブリーダーズCのイメージカラーである紫を騎乗ブーツやキャップに取り入れているように、武豊にとっても“競馬の祭典”はあこがれの舞台だ。「調教助手時代の泰寿(池江師)とは、アメリカ競馬の話ばかりしていたんだ。来年も行きたいね。G1馬として行きたい」。2年連続の参戦を見据えながら、ビッグタイトル獲得を意識する。

 コース変わりにも前向きに言葉を紡いだ。「距離も合うし、中山も合う気がする。器用だから小回りがいいんじゃないかな」。中山では過去1戦1勝だが、有馬と同じ芝の2500メートル戦だった。「(9着だった)目黒記念のときは全然良くなかった。調教とレースが直結するタイプだからね。アメリカの2戦はすごく良かったんだ。今回は間隔があいているので…。追い切りでその動きができればいいけど」。海外遠征帰りとなるだけに、状態面を気にかける。

 今年は米国以外にも、ドバイ(3月=ドバイWC)、英国(8月=シャーガーC)、香港(12月=香港マイル)へ遠征。世界から名手が集う騎手のチーム対抗戦・シャーガーCでは、キャプテンを務めた世界選抜が優勝を果たした。世界を飛び回った一年を「あっちこっち行ったね。海外遠征が充実していた年だった。人馬ともに海外の方が評価が高い」と笑う。

 10年ジャパンC(ローズキングダム)以来のG1制覇となったマイルCSで、前人未到の平地G1完全制覇に王手(残すは朝日杯FSのみ)をかけた。ファンは武豊の勝利を待ち望んでいる。ユタカコールに包まれたお立ち台での「お久しぶりです」の言葉に、場内は歓声がこだました。思うように勝ち星が伸びないなか、それでも自分を信じて“ユタカ”を貫いてきた。「気が楽になったのはある。有馬記念を勝ちたいね」。トップを守り続けてきた記録男が有馬記念3勝目を誓う。

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