【天皇賞】フェノーメノ夏越して成長

 「天皇賞(秋)・G1」(28日、東京)

 今年の3歳世代はレベルが高い。今月は毎日王冠に続き、先週の富士Sでも3歳馬が古馬の壁をクリアしてワンツー。5戦5勝のカレンブラックヒルはもちろん、セントライト記念を完勝しながらも菊花賞ではなく、盾獲りへの進路を選択したフェノーメノ、毎日王冠2着のジャスタウェイにも注目が必要だ。とりわけフェノーメノはひと夏を越してグンと成長。ポルトガル語で“怪物”の意味を持つ馬名のダービー2着馬が、得意の府中で躍動する。

 菊花賞か、天皇賞か。回答を迫られた二者択一の秋、フェノーメノ陣営は02年シンボリクリスエス以来となる3歳での盾制覇を目指すことを決断した。4戦3勝、2着1回の実績を誇る東京コースへの適性が陣営の背中を押したことは確かだろう。ただ、同世代馬の枠では収まらないくらいの上昇度と可能性の大きさを感じ取っているからこそ、高みを見据えたのも間違いではあるまい。

 「実際問題として(それまで良績のなかった中山の)セントライト記念では、強引な競馬で押し切ったわけだから。あの内容で右回りが不向きとは言えないでしょ」と3走前の青葉賞(1着)以降、主戦の座に収まった蛯名は話す。また、戸田師はひと夏を越しての成長ぶりを強調。「春当時は馬体的に前駆が勝っていたが、今は前後のバランスが良くなった。(久々の)前走を使ってギュッと引き締まったしね」と大きくうなずく。

 吉兆とも言えるデータがある。これまで秋の盾に参戦した同年のダービー2着馬は2頭。95年のジェニュインは鼻差2着(優勝はサクラチトセオー)、また前述のシンボリクリスエスがVと連対率は100%を誇る。蛯名自身も96年に3歳のバブルガムフェローをVに導いた実績を持つ。「骨折でクラシックに出られなかったバブルとは過程が違うけどね。十分に楽しみを持って臨める馬なのは確か」。今開催の東京では毎日王冠、富士Sと3歳馬がワンツーフィニッシュ。戸田師は「3歳は斤量が軽いからねって、今回のウチの馬もそうか」と古馬と2キロ差のアドバンテージにいたずらっぽく笑みを浮かべる。

 ダービーではディープブリランテにわずか23センチ差及ばず頂点を逃しただけに、この秋にかける陣営の思いは強い。先週の菊花賞はダービーで0秒2先着したゴールドシップが勝ち、セントライト記念で完封したスカイディグニティが2着に入った。世代屈指の実力には明確な裏付けがある。

 「気持ちを高揚させ過ぎないように、でも、前走時よりは意識的に強めに水曜は追い切る。上積みはある。いいと思う」とトレーナーはスキのない仕上げを約束した。ダービー2着が戦績のなかに埋もれてしまうくらいの大きな飛躍を遂げたい。その第一歩が今回の天皇賞だ。

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