アイドル、刺され重体 27歳の男逮捕

 冨田真由さん(アメーバブログより)
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 21日午後5時すぎ、東京都小金井市のライブハウスが入る建物の敷地内で、アイドル活動をしている冨田真由さん(20)が、男に刃物で首や胸などを刺された。冨田さんは病院に運ばれたが20カ所以上を刺されており、意識不明の重体。警視庁小金井署は傷害の疑いで住所、職業不詳、自称岩埼友宏容疑者(27)を現行犯逮捕した。

 武蔵野市在住で都内の私立大に通学している冨田さんは今月9~19日に岩埼容疑者の名前を挙げ「ブログやツイッターに執拗(しつよう)に書き込みをしている」という内容の相談を武蔵野署にしていた。19日の相談で同署は冨田さんから21日のイベントを伝えられ、会場を管轄する小金井署に「110番があったら応じるように」と依頼していた。警視庁は対応に問題がなかったか調査する。冨田さんのファンとみられる岩埼容疑者は容疑を認めている。

 冨田さんは現場の建物で開催されるイベントに出演予定だった。地下1階のライブハウスにつながる階段の入り口付近で刺されたとみられ、傷は首や胸のほか、背中や両腕などにもあった。目撃者が「男が刃物で女性の首を刺している。女性が倒れている」と110番。小金井署員が駆け付けると、現場に血の付いた折りたたみ式ナイフがあり、近くにいた岩埼容疑者が「これで刺した」と認めた。

 イベント会場が、事件の現場となった。出演予定だった別のアイドルは「何も言えない」と表情をこわばらせ、付近は騒然となった。半年ほど前から冨田真由さんの出演イベントに参加していた40代男性は、突然の事態にぼうぜん。冨田さんは数カ月前のライブ中に「ライブ後に男性に待ち伏せされ『電話番号を教えろ』としつこく付きまとわれた」と話していたという。

 同じ建物で居酒屋を経営する女性(60)によると、建物地下1階のライブハウスにつながる階段の入り口付近に直径約50センチの血痕と真っ赤になったマスクが落ち、ギターも横に置いてあったという。

 冨田さんが刺された事件は、ファンとの距離の近さが常態となっている現在のアイドル事情を象徴する側面がある。岩手県滝沢市で14年、AKB48の握手会会場でメンバーの女性ら3人が、のこぎりを持った男に襲われた。握手会は人気を支えるイベントだった。昨年12月には女優の柳ゆり菜(22)が書店で握手会を開いた際、男に腕を引っ張られる事件が起きた。

 小規模なライブハウスや飲食店などでのイベントはアイドルを間近に感じられるため人気がある。公演予定などもアイドル自身がブログやツイッターで発信することで、ファンからの心理的な距離が縮まっていた。

 AKBの事件後、各芸能事務所は警備を強化。だが近年は、事務所に所属せず個人で活動するアイドルもおり、その場合は外部の危険を食い止める“壁”を持たない。

 冨田さんは、大学に通いながら芸能活動に励んでいた。事件の約2時間半前にはブログにライブの出演情報を掲載し「(来場を)お待ちしております!」と書き込んでいた。所属する会社のホームページによると、長野県出身で、過去に期間限定のアイドルユニットで活動。特撮ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」のほか、舞台への出演歴も紹介されている。冨田さんを知る芸能関係者の男性は「とにかく明るい子で、舞台を頑張っていた。歌をうまくなろうと努力していた」と話す。

 14日には、長野県の実家に帰省した際の写真を掲載するとともに「21日にライブします!」と宣言していた。

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