日進月歩の手術&治療技術 外科的手術から内科的治療へ カテーテルで負担少なく安全に
最近は、内科的治療が発展してきています。
消化器外科、乳腺外科などの分野では、抗癌剤、免疫チェックポイント阻害剤の出現により、以前は手も足も出なかった進行癌が治癒するという素晴らしい結果を頻繁に拝見することがあります。
循環器内科の世界でも同様です。
私が医師になりたての頃は、心臓に酸素と栄養を供給している血管が詰まると外科的手術が第一選択でした。
内胸動脈、大伏在静脈、橈骨(とうこつ)動脈、右胃大網動脈などを使用してバイパス手術をします。
動脈が詰まっている部分の抹消に血流が行くようにするのです。
大動脈瘤に対しても、人工血管に置き換える手術が施行されていました。
閉塞性動脈硬化症などで足の血流不全が原因で、歩行障害が出現したときも人工血管を用いたバイパス術が盛んにおこなわれていました。
上記の疾患の多くの症例に対して、現在は内科的治療が選択されています。
具体的には、心臓の血管の細くなった部分に網目状の金属の細い管を通して拡張するのです。
大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症に対しても破裂しないように、または血流の改善を期待して、同様の治療が行われています。
未破裂の脳動脈瘤に対しても、動脈瘤の部分に金属を詰めて破裂を防ぐ治療が行われています。
最近は、カテーテルを使った内科的治療が非常に進歩をして、最近まで開胸で行われていた大動脈弁置換術も、2013年からは保険適応となり多くの医療機関で開胸せずに安全に行われるようになってきています。
このカテーテルを使った治療は様々な制約がありますが、リスクの高い高齢の患者さんには大変な福音だと思われます。
僧帽弁置換に関しても、侵襲が少ない人工心肺を用いない小切開手術の研究が続けられています。
他にも、ロボット支援下での心臓手術も盛んに行われるようになってきました。
日進月歩の治療に期待が増すばかりです。
◆谷光利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。
