お口の衰えで健康リスク約2倍 シニアに大切な「噛む力」 歯学博士のオススメはフーセンガム

 最近、硬い食べもの避けていませんか? 人生100年とも言われる時代、できるだけ元気に長生きしたい-。誰もが願う健康長寿の鍵の一つとして、「噛むこと」が注目されている。

 シニア世代になると「硬いものが食べづらくなった」と感じる人は少なくない。こうした変化は、口の機能が衰える「オーラルフレイル」のサインの一つとされる。噛む力の低下は食生活に影響し、全身の健康にも関わる可能性がある。菓子メーカーのロッテは、噛むことに関する情報発信のための自社サイト「噛むこと研究室」を運営。オーラルフレイルについてもサイト内で紹介し、オーラルフレイルの状態だと、フレイルやサルコペニア(筋肉減少)、要介護認定、総死亡リスクが約2倍になり、4年後の死亡リスクが上昇するという調査結果もある。

 硬いものが食べづらくなると、柔らかく食べやすいものに偏りがちになる。すると栄養バランスが崩れ、タンパク質や野菜の摂取量が減る一方、麺類など柔らかくて食べやすい炭水化物中心の食事になりやすい。こうした状態が筋肉量の低下を招き、さらなる口腔機能の衰えを招くという悪循環に陥る。

 一方で、噛むこと自体にも重要な役割がある。咀嚼(そしゃく)は唇や舌、あごなど口周りの筋肉を使う運動で、噛む力や舌の機能の維持につながる。また、唾液の分泌を促し消化を助けるほか、唾液内の免疫物質により、細菌やウイルスの侵入を抑える働きもあるとされる。

 さらに、「噛むこと」は脳の働きにも関係するという。

 大阪市住之江区の相愛大学で14日、「噛むこと&栄養学」をテーマにした健康講座が開かれた。歯学博士で人間発達学部の品川英朗教授(53)は、人体は通常、右半身の動きを左脳が、左半身の動きを右脳が司るとした上で、「噛む動作は両方の脳を使います。脳の活性化という面でも効果が期待されています」と説明し、「(噛むことは)いかに重要か、ということです」と強調した。

 講座では、ガムを使った咀嚼チェックやフーセンガムの出来栄えを競う体験も行われ、学生や地域住民らが参加した。ガムは一定のリズムで長時間噛み続けることができ、頬や唇、舌の筋肉を幅広く使うのが特徴だ。器具を使わず、激しい運動も伴わないため、幅広い世代が取り組みやすい。ロッテによると、ガム2粒(約3グラム)で5分間に約430回、10分間で約870回の咀嚼になるという。現代は食の軟化が進み、1回の食事での咀嚼回数は約600回と、戦前の半分以下という報告もある。ガムは“噛まなくなった時代”に手軽に咀嚼を補う手段といえそうだ。

 品川教授は、特にフーセンガムの活用を勧める。ガムを舌で丸めたり伸ばしたりし、さらにふくらませる一連の動きは口周りの筋肉を複雑に使うため、「ただ噛むだけより多くの筋肉を使います」と説明。オーラルフレイルの予防や改善にもつながる可能性があるという。

 日常生活では、根菜類や赤身の肉などを積極的に取り入れ、「一口30回を目安によく噛む」「左右バランスよく噛む」「早食いを避ける」ことが大切とされる。足を床につけ、姿勢を整えて食事をすることもポイントだ。

 厚生労働省が2022年に公表した日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳。一方、健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳で、その差は約10年に及ぶ。食べる楽しみを守り、健康に過ごすためにも、日々の生活の中で「噛む習慣」を心がけていきたい。

 噛めば噛むほど、人生の味わいもより豊かになるー。

(よろず~ニュース・田中 靖)

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