万博効果「期待以上」が4社に1社 企業の評価“西高東低”も…1000社超の採点結果は高水準
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が閉幕して1週間。東京五輪・パラリンピック後の大阪・関西、そして日本の「成長を持続させる起爆剤」として位置づけられた半年間の祭典は、多くの来場者で賑わった。日本国際博覧会協会によると、一般の来場者数は2557万人超、運営費は最大で280億円の黒字を見込むなど、一定の成果が確認された。株式会社帝国データバンクはこのほど、日本経済にとって大阪・関西万博が、開催前に期待されていたプラス効果をもたらしたかなどについて、全国の企業1058社へアンケートを実施、結果を公表した。
日本経済にとって万博が、開催前に期待されていたプラス効果をもたらしたかを尋ねたところ、「期待以上」と回答した企業が23.4%にのぼり、約4社に1社が高く評価した。「期待どおり」は44.0%と多数を占め、両者を合計すると7割近くの企業が『一定のプラス効果』を日本経済にもたらしたと捉えていた。開幕直前の4月に実施した調査で、日本経済に対しプラス材料として「期待できる」とした企業は43.5%だったことを踏まえると、期待を上回る成果と受け止められたと言える。他方、「あまり期待どおりではなかった」は27.4%、「期待を下回った」は5.1%にとどまった。
『一定のプラス効果』について地域別にみると、開催地の「近畿」が81.3%で最も高く、「九州(73.9%)」「四国(71.0%)」「中国(69.1%)」が上位に並んだ。開催地に近い西日本地域で、よりプラス効果を認識する傾向が表れた。
企業からは、「大阪周辺では来場者増が交通や買い物・飲食などにプラスに働いた。また、毎日メディアで取り上げられ、大阪地区の雰囲気が良く、会場外のイベントも盛況の様子だった」(機械・器具卸売、大阪府)や「短期間の工期にかかわらず、質の高いパビリオンが多数建設され、素晴らしい仕事をする日本の底力を垣間見た」(専門サービス、東京都)といった声が寄せられた。
さらに、「自社の独自商品が数カ国のパビリオン建設で使われた」(化学品製造、長野県)というように実際に事業への効果をあげる声も聞かれた。しかしながら、「中長期目線での効果については疑問を感じる」(化学品卸売、大阪府)や「関東地区では、まったく効果を実感できず、工事中の資材不足や高騰に悩まされた」(建設、千葉県)という指摘も少なからずあった。
万博が日本の社会や経済に与えた効果について、100点満点で評価を尋ねたところ、平均72.2点だった。点数分布をみると、「80~89点」が25.3%で最も高く、次いで「90~99点」(21.6%)、「70~79点」(15.6%)が続いた。また、6.2%の企業は「100点」を付けた。他方、50点未満を付けた企業は1割にとどまるなど、各社は高い評価を与えたと言える。
アンケートの結果、大阪・関西万博は日本経済に対し『一定のプラス効果』をもたらしたと、約7割の企業が評価していた。なかでも「期待以上」のプラス効果があったと捉える企業は2割を超え、万博が「成長の起爆剤」としての役割を一定程度果たしたと言える。来場者数・収支ともに高水準で推移し、企業活動や経済活動に直接的な恩恵をもたらしたと考えられる。特に西日本地域では、観光、消費、建設など多方面で波及効果が顕著であり、地域経済の活性化に大きく寄与した。
さらに、企業による万博の日本社会・経済への影響に関する評価点は平均72.2点と、概ね肯定的に受け止められている。とりわけ「80点以上」を付けた企業が半数超にのぼったことは、万博の実施が企業活動や地域振興において実効性のある成果をもたらしたことを裏付ける結果と言える。
今後は、万博の成果を一過性に終わらせず、持続可能な地域振興や産業活性化につなげる取り組みが求められる。万博を契機にこうした取り組みが、次なる成長戦略として実を結び日本経済全体が底上げされることが期待される、としている。
(よろず~ニュース調査班)
