SNSに溢れる陰謀論…都市伝説系YouTuberに聞く「歴史上、今が一番、情報過多」「負の側面に引っかからず」

 かつてはマニアックな世界線にあった「陰謀論」だが、SNSが日常に浸透した昨今は実社会にも影響を及ぼしている。選挙がネット空間に流布する真偽不明の情報に左右されがちなこともその一例だ。そのような時代を背景に、若い世代を中心に人気の高い都市伝説系YouTuberに発信者として留意している点について聞いた。

 陰謀論として一般的に報じられるようになった「ディープ・ステート(DS)」という概念がある。国家内に“闇の政府”があるという考え方で、米国ではトランプ大統領が敵対勢力の総称としてこのワードを使って一般にも知られることになった。日本では、昨年来、「既得権益」や「オールドメディア」といったワードがネットに溢れた。それらが結託した“勢力”と戦っている…とされる政治家や政党を熱烈に支持する人たちと、批判や疑問視する人たちとの間で分断が深まっている。

 そうした状況を踏まえ、登録者数148万人の人気チャンネルで知られる都市伝説系YouTuber「コヤッキースタジオ」(略称・コヤスタ)の2人に見解を聞いた。都市伝説テラーの「コヤッキー」と都市伝説アンバサダーの「とーや」だ。

 選挙がネット空間の陰謀論と不可分になっている傾向について、コヤッキーは「最近は選挙がSNSでも盛り上がりましたけど、僕たちはあくまでもどこの政党を応援するとかそういった事はしていません。それがコヤッキースタジオとしてのいいところだとも思っています。あくまでもエンタメとして都市伝説を発信することで、情報が溢れている時代だからこそ考える一つになってくれたらいいなと思っています」と自身のスタンスを説明した。

 とーやは「特定の政治思想は明言を避け、あくまで中立的に双方の意見を取り入れた上で動画づくりをしています。盲目的に推しや配信者を信じる人が多いので、あくまで宗教的教祖にならないように気を付けています」と留意点を明かした。

 さらに、俯瞰(ふかん)した視線で今の時代を読み解いた。

 とーやは「歴史上、今が一番、情報があふれている世の中になっています。ゆえにこの世の真実を知りたい人が増えてきました。また、都市伝説やオカルトを好きな人がかつてのノストラダムスの予言の時より増えているように感じます。それはSNSを通じて荒唐無稽なオカルトや都市伝説が広く拡散されるようになった事が要因かなと考えています。その中で、嘘やデマと思われていた物の中から真実だったものが報道機関や政府などから一部真実だったと明かされる事が増えてきました」と解説した。

 その上で、とーやは「そういった時流の中で、コヤッキースタジオでは都市伝説オカルトをエンタメにし、面白く見ていただけるように動画を配信してきました。それが視聴者の皆様に届いた結果この3年間では大きく伸びたかと思います」と手応えを示す。

  また、コヤッキーは「陰謀論とか考えすぎちゃうとネガティブになっちゃう方もいるので、『コヤスタ』では笑ってもらえるようなコンテンツにしたくて、相方のとーやくんと都市伝説とは関係な話もしながら都市伝説を楽しんでもらいたいなと思っています」と付け加えた。

 今後のビジョンについて、とーやは「世の中では経済的困窮や将来の見通しの立たなさから不安の状態が続いているので、そういった事で霊感商法をはじめとしたオカルトの負の側面が増えているように感じます。そういったマイナスの面を視聴者の方をはじめ、多くの人が引っかからないように配信していけたらうれしいなと思います」と説いた。

  ネットの情報を盲信するのではなく、複眼的な視点で真偽を検証しつつ、エンタメとして楽しむ。2人はバランス感覚を保ちながら活動を続けている。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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