挨拶できない新入社員 どう対応すべき?罵倒は問題、大げさも避けたい…ポイントは“きっかけ” 識者語る

 新入社員を迎えてまもなく1カ月という4月下旬になって、まだ「社会人としての挨拶ができない」と思われる若者が部下にいた場合、どう対応すればいいのだろうか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏がその対策を提言した。

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 【今回のピンチ】

 部下の新入社員クンは物静かなタイプ。毎朝「おはよう!」と挨拶しても、うつむいたまま小さな声で「どうも」と返すだけである。上司として、どうしたものか……。

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 自分が課長を務めている部署に、春から配属された新入社員クン。仕事はそれなりにこなしていますが、物静かなタイプで、何を話しかけても「はあ」や「はい」といった短い返事しか返ってきません。

 その辺は徐々に慣れていってもらえばいいとして、悩ましいのが、毎朝こっちが「おはよう!」と挨拶しても、うつむいたまま小さな声で「どうも」としか言わないところ。社会人として生きていく上で、挨拶もロクにできないようでは困ります。

 上司としては、きっちり指導しないわけにはいきません。ただ、言い方を間違えると、前途ある若者の未来をつぶす危険性もあります。ひじょうに頭が痛い大ピンチ。さて、どうアプローチすればいいのか。

 最悪なのは、いきなり「挨拶ひとつロクにできないなんて、お前はヤル気あるのか!社会人として失格だ!」と罵倒すること。挨拶について注意しているはずが、ヤル気を疑ったり社会人としての資質を否定したりしているところも、大きな問題点です。

 誰しも「こういう叱り方はいけない」と頭ではわかっているはず。しかし、どう注意したものかと悩み続けてしまうと、イライラや怒りが必要以上に溜まって、大爆発という事故を招きかねません。それを防ぐ意味でも、早めの対処が必要です。

 教科書的には、恥をかかせないように他のメンバーがいない場所に呼んで、「挨拶をきちんと返さないことで、どういうマイナスがあるか」を説明しつつ、人格ではなく行為に焦点を当てて穏やかに注意するのがセオリーです。注意した後は、仕事ぶりをホメたりなどのフォローもしておきたいところ。

 「相手を責めるのではなく、挨拶をちゃんと返してくれないことで、自分がどう思ったかを伝える」といった定番のノウハウもあります。といっても、自分が抱いた不快感をそのまま伝えるわけにはいきませんけど。

 そういうやり方はきっと有効なんでしょうけど。一方で「話が大げさになる」というデメリットもあります。新人クンも、たぶんまだ緊張していて「おはようございます」と口に出すきっかけがつかめないだけ。試しに、そのきっかけを与えてみましょう。

 明日の朝、例によって「どうも」としか返ってこなかったら、明るい口調でサラリと「おはようには、おはようだね。リピートアフターミー!」と言って、もう一度「おはよー」と挨拶します。両手を自分の顔の横でヒラヒラさせながら言うのがオススメ。最初は寒々しい雰囲気になるかもしれませんが、何度か繰り返せば効果が表われる……かも。

 頑なに挨拶を返そうとしなかったり、こっちの捨て身の行為を勝手にプレッシャーに感じたりするようなら、残念ですが仕方ありません。居心地の悪い環境の中で半人前のまま、強く生きていってもらいましょう。歩み寄る(=甘やかす)のも限度があります。

(コラムニスト・石原 壮一郎)

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