4月1日は全国各地の企業で入社式が開かれた。近年は入社式も一つのコンテンツとして、SNSで写真を発信する企業が多い。そんな中「リラックマ」「すみっコぐらし」などの人気キャラクターで知られるキャラクター企業「サンエックス」の入社式の写真が話題を呼んでいる。新入社員たちが同社キャラクターのぬいぐるみで顔を隠した状態で撮影。同社によれば、守っているのは社員のプライバシーや肖像権だけではないという。その理由を聞いた。

　同社は1日、都内の本社で、2025年度新入社員入社式を実施した。広報担当キャラ「コロニャ」も登場し「ご入社おめでとうございニャす。サンエックスへようこそ！がんばれ～」とゆるめのエールを送るなど会場は和やかな雰囲気。その後、新入社員14人がぬいぐるみで顔を隠した状態で集合写真を撮影した。

　同社公式Xで公開したその写真には、6.4万件の「いいね」が寄せられ（7日時点）、数多くの反響があった。そのほとんどは、プライバシー保護や企業のSNS運用として「好感が持てる」と好意的な反応だった。入社式や新入社員の写真をSNSに公開することが珍しくなくなった時代だからこそ、注目を集めたかたちだ。

　同社の広報担当者は、よろず～ニュースの取材に「プライバシーや肖像権の保護の観点ではもちろん」とした上で、「サンエックスはキャラクター会社として、ファンの皆さまにとってキャラクターの世界観を守ることも大切に考えています。そのため、入社式の写真では、新入社員の顔を弊社オリジナルキャラクターのぬいぐるみで隠した写真を撮影しています」と顔を隠す理由を明かした。

　同社は2024年から入社式の様子をニュースリリースなどで発信することを開始した。きっかけは、23年7月にコロニャが広報担当になったこと。24年の入社式にコロニャが登壇する様子を発信する目的だったという。「2024年から入社式の様子をプレスリリースにしており、当初からぬいぐるみで新入社員の顔を隠して撮影しています」と話す。

　サンエックスキャラクターの“作り手”にあたる社員の情報を必要以上に出さない。「プライバシーや肖像権」を守るだけでなく「世界観」も守るという、キャラクター会社ならではの理由があった。

（よろず～ニュース・藤丸 紘生）