大人もハマる「PUIPUIモルカー」の懐の深さ 暗号を受け取ったような快感が…

 車輪のついたモルモット『モルカー』達が登場する3分弱のストップモーションアニメ『PUIPUIモルカー』。テレビ東京系『きんだーてれび』のコーナーとして1月5日より放送開始したところ、子供だけでなく大人までを巻き込みバズっているようだ。映画に造詣の深いwebデザイナーのロン氏にその魅力をうかがってみた。

 ◇  ◇ 

 ロン:最初は子供向けアニメがバズってるだけだと思ってたんです。しかし、いざ観てみると車外の人間はミニチュアなのに車内の人間は実写のコマ撮りという”ピクシレーション”という手法を使っている。生々しい効果音や、人間の業を描く少し不気味な部分も、チェコアニメのヤン・シュヴァンクマイエル監督作品と似たシュールさを感じました。4話『むしゃむしゃおそうじ』では、ポイ捨てされたゴミを食べたモルカーが、運転している人間も一緒にフンとして排泄するシーンがあるのですが、まるで人間は地球にとって害悪であると訴えているようですよね。子供はどう感じているのか聞いてみたいです。

 ゆきほ:確かに大人目線と子供目線ではかなり印象の違う作品かもしれませんね。

 ロン:かわいいストップモーションアニメとして観て癒されるというのも勿論あるのですが、じっくり観察すると見たことのあるシーンがたくさん出てくる。例えば8話『モルミッション』だけでも、3分弱の番組に『AKIRA』、『ミッションインポッシブル』、『メカシャーク』などのオマージュが詰め込まれているので、アクション映画1本観たような満足感があります。

 観ている人全員がオマージュに気づいているわけでは無いでしょうが、結果それが説得力になっている。ヘリが墜落する直前にスローになったり、メカシャークがレーザー発射前に翼を出し飛行を安定させるシーンは、繰り返し観ました。

 ゆきほ:他のストップモーションアニメと決定的に違うポイントとは?

 ロン:制作側から「このネタ分かる?」と問いかけられている気がするんです。観る側も、「分かる分かる!このシーン最高だよね!」と、作品を通じてコミュニケーションが取れるというか、暗号を受け取ったような快感があります。更に自分の趣味を肯定されているような気持ちにもなってしまうんですよね。

 ◇  ◇

 わずか3分弱で疲れた大人を癒し、自己肯定感まで持たせてくれる『PUIPUIモルカー』。平日朝7時30分からと、リアルタイムで視聴するには難しい時間帯だが、アマゾンプライム、U-NEXTなど25種類のサブスクリプションサービスでの配信も開始し3分時間が空けば自由に繰り返し観ることができる(3月にはNETFLIXも配信予定)。オマージュを発見した人々が嬉しくなりSNSに書き込みたくなるというのも、爆発的に人気が広がった大きな要因だろう。厳しい世相の中、ヨチヨチと走るモルモットの車が、疲れた大人の救世主になっている。(ゆきほ)

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