「やっと成長できた」木村文乃 大反響ドラマ「愛の、がっこう。」最終章へ「世の男性は見習うところあるんじゃないかな」
俳優・木村文乃(37)が、フジテレビ系主演ドラマ「愛の、がっこう。」(木曜、後10・00)で高校教師・愛実を熱演している。ドラマは7月にスタートし、いよいよ最終章へと突入。反響の大きさに「いろいろな方々に今までで一番、見てるよと言われている気がします。うれしいですけど、ちょっと恥ずかしいですよね」とはにかむ。昨年、デビュー20周年を迎えた木村が、その過程における考え方の変化や、作品の見どころなどを語った。
これまで数多くの作品を演じてきた木村。その中でも、今作は反響が大きいといい、特に女性ファンに声をかけられることが多いという。
「実は恋愛もの、愛のあるヒューマン系のものを演じたのが、あまりないんです。感想を聞くのも小っ恥ずかしいんですよ。『どこがどう?』とか聞いたことがなくて。(ファンの中には)モジモジして近づいてくる女性の方々もいますけど、感想も言いたいけどミーハーになっちゃいけないと、みたいな。でも、うれしいです」
真面目な高校教師・愛実とSnow Man・ラウールが演じるホスト・カヲルとの禁断の純粋な愛を描いた作品。愛実について「参考になる人もいなくて、私の中にあまり愛実要素もなくて。(西谷弘)監督に率直にお話をして作り上げていきました」と打ち明ける。
カヲルにひかれていく一方で、中島歩が演じる、自身に恋愛感情のない親にレールを敷かれた婚約者・川原洋二と結婚を考える立場。台本を読み背筋が伸びたが、理想の愛実を演じようと、愛の形について真剣に考えもしたと明かす。
「愛が何かというところの道のりを考えた時に、交際0日婚って成り立つんだろうか?とすごい考えました。愛の形ってなくてもいいんじゃないかと。細かな気遣いで、息を合わせていく作業が一生続けられる相手だったら、愛って成立するのかなと」
難しい作品だからこそ、共演者と一致団結して撮影に臨んだ。ラウールとは「実年齢は15歳差があって、ここまで離れると『ラウールさん何でもやってください。大丈夫です。私、なんとか受けとめます』みたいな気持ちにもなってきて。ラウールさんがのびのびやってくれることが、私は一番うれしかった」という。
一方、1歳下の中島とは共演歴もある。「台本ではこう書いているけど、実際に動こうとするとすごく難しい描写が多々出てくるんですけど、中島さんに任せておいたら大丈夫かなと思って、甘えてました」と振り返った。
昨年、デビュー20周年を迎えた。その間、芝居への臨み方は変化してきたという。2006年の映画「アダン」のオーディションでヒロインに選ばれるなど、将来有望株として期待を受けていたが、当初は人間不信になるほど、壁にぶち当たり悩んだ。「当時は、背伸びして何でもイエスということが良しとされた時代の名残に私もいたのですが、無理にイエスと答えると、それはそれで結局心は病む。できることとできないことを冷静に見極めて、それを的確に伝えることは大事なことだなと。40代手前の大人になってやっと成長できたかなと思います」
自分にウソをつかない。自然体で仕事へと向き合うことの結果、視聴者をひきつける愛実の演技につながっている。
物語はいよいよ最終章を迎える。カヲルとの行末、婚約者・川原との結末は-。「9話、10話ってこれまでクセ強だった人物たちが、真人間にちょっと触れていくという、そういった風呂敷の畳み方も見どころの一つじゃないかと思います。愛とか恋に発展しなくても一緒に共有した時間が大事だと思わせられる。相手のためにトゲを取って、丸くなっていく姿というか。川原さんの真人間への近づき方はきっと、世の男性は見習うところがあるんじゃないかなと思います」と、愛実目線で見どころを語った。
脚本家・井上由美子氏の完全オリジナル作品。撮影中に徐々に台本ができあがるため、先が読めないことも相まって愛実という人柄へ前のめりになった。撮影終盤、西谷監督から「もう、愛実に会えなくなるの寂しいね」と言われると「寂しいです」と思わず返したという。撮影前よりも、作品が大好きになったという木村。作品を見終えたころ「楽しかった」と思える視聴者が一人でも多くいることを心から願っている。
◇木村文乃(きむら・ふみの)1987年10月19日生まれ。東京都出身。2006年「風のダドゥ」で映画初主演後、同年、NHK大河ドラマ「功名が辻」でドラマ初出演。12年にはNHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」に、20年にNHK大河ドラマ「麒麟がくる」など注目作に出演。今年10月31日公開の吉永小百合主演映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」に出演。14年にはエランドール賞新人賞を受賞。23年3月には一般男性との結婚を発表。1児の母。趣味・旅行、写真、料理。AB型。
