プレスリー役怪演俳優 役に没入し過ぎて取った仰天行動 「もはやセットではない感覚が生まれた」
俳優のオースティン・バトラー(33)は、新作映画「コート・スティーリング」の役作りのために撮影現場で一夜を過ごしたという。「エルヴィス」「デューン 砂の惑星PART2」など没入型の演技で知られるオースティンだが、ダーレン・アロノフスキー監督の同新作スリラーではニューヨークのイースト・ヴィレッジに住む元野球選手でバーテンダーのハンクを演じている。
ハンク役の準備についてオースティンはバラエティ誌にこう明かす。「一晩だけ(セットの)アパート全体を独り占めにしたんだ。音楽を流し、踊り回って、中華料理を食べた」「本当にそこに住んでいるような感覚になった。一晩中そこで寝て、クルーが来たところで下着姿のまま目が覚めたんだ。もはやセットではない感覚が生まれた。映画製作には自分を邪魔してくる多くの要素がある」「照明やカメラ、上からの照明が必要な場合の天井のないセットとかね」「周囲を見渡しこの幻想を壊したくなる誘惑に駆られる。だから自分を騙すための工夫が重要になるんだ」
「エルヴィス」でのエルヴィス・プレスリー役では本人の声や仕草を模倣、「デューン 砂の惑星PART2」ではアメリカ海軍特殊部隊SEALsの訓練を受けてフェイド=ラウサ・ハルコンネンを演じたオースティンだが、同新作のハンクが本当の自分に近いと感じたそうだ。「怖かった。そもそも演技を始めた理由の一つは、自分がとても内気だったから。役を演じることで、別の皮膚をまとい、別の声を出し、別の人間になれる。それが自由を感じさせてくれた」「けど自分そのものに近い役を演じることで、隠れ場所がなくなってしまい、無防備な気持ちにさせられたよ」
また元野球選手ハンクの身体作りも抜かりなくやったという。「彼はエリートアスリートでありつつ、ピーク時の身体能力を失っている、そのような人物の身体が必要だった」「ある種の厚みを持たせたかった。だからトレーニングをしながらビールもたくさん飲んだ」
アロノフスキー監督は2022年のアワードシーズン期間中にオースティンに同新作の企画を提案、当時同監督は自身の作品「ザ・ホエール」、オースティンは「エルヴィス」でアカデミー賞の候補に挙がり、俳優のブレンダン・フレイザーが「ザ・ホエール」でアカデミー主演男優賞を受賞した。同監督はオースティンの演技についてこう語る。「本当に深く掘り下げるんだ。むしろ、ある種の緩みを出したかったから、彼には『もう少し力を抜いてリラックスして』とよく言っていた」
グラフィックノベル原作の「コート・スティーリング」は1990年代のニューヨークが舞台、オースティン演じる主人公ハンクが隣人の猫の世話を引き受けたことで、警察とロシア系マフィア、ハシディズム派の殺し屋たちがある鍵を巡って繰り広げる暴力的な争いに巻き込まれていく姿が描かれる。
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