野口五郎70歳道半ば、飽くなき「音」への追及 来年1月フルオーケストラツアー開催「夢を抱えて皆さんとそこをのぞいてみたい」
1971年にデビューし、アイドルとして爆発的な人気を誇った歌手・野口五郎(70)。その後も圧倒的な表現力と音楽への造詣の深さで、日本の歌謡界をリードしてきた。来年1月からは、全国4都市を巡るフルオーケストラツアー「billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2027 Beyond the dream!!~夢のその先へ~」を開催。古希を迎えても飽くなき「音」への追究を続ける野口が“オンリーワン”の生きざまを語り尽くした。
昨年6~7月に続く、2回目のフルオーケストラによるコンサートツアー。自身にとっても初の挑戦だった前回を、野口は「60人近い人が後ろにいるわけですから、皆さん一人一人の思いというか、音のすごさを背中で感じますよね。それぞれこんなにはっきり音が違う。それが集まった瞬間、アンサンブルになっていく。一度経験すると、すごくよく分かります」と振り返った。
背後から押し寄せる圧倒的なパワーに対して、自身の声を合わせて作品に仕上げる。「音の由来の中に自分の声を乗せる“妙”というか、それは実にすごいもんだなと。オーバーな言い方ですけれど、全ての根源を感じるというかね」と言葉に力を込める。
同じ楽器で同じ音程を発しても、一人一人が奏でる音はみな、少しずつ違う。それを「揺らぎ」と捉え、その集合体となった音にもさらに「揺らぎ」がある。それが野口の中での「根源」につながっていく。「揺らぎの積み重ね、そして観客の方の反応もまた、その揺らぎに加わって、最終的には一つの大きなうねりができていく。こういう風にして宇宙も始まったのかな?って思っちゃうぐらい」。童心に戻ったかのように、楽しそうに言葉を紡いだ。
デビューから55年間、すべてを「音」に費やしてきた野口にとっても、新鮮な経験だった昨年のツアー。「1段階ステップアップさせていただいたなって思いました」と振り返る。そして2度目の今年、タイトルを「~夢のその先へ~」とした。「去年、未知の経験でワンステップアップさせていただいたので。今年はちょっと上から『その先』をのぞいてみたいという思いが出てきましてね」と真意を説明した。
ツアーでは昨年に続き、長女のピアニスト・文音と共演する。世間の注目を集めているが、野口は「正直、もう1人のピアニストとして見てます。ステージでは全然、忘れてますね」とキッパリ。一方で「よく気の合うピアニストだな、と思ったら、そうか、娘か!というかね。DNAを感じたことはあります」と、父としての思いも口にした。
デビュー当初から、音に対するこだわりは周囲を凌駕していた。「いろんなことをやりすぎちゃった。正直、当時はちょっと早かったところもあって、同業者で一緒にしゃべる人もほとんどいなかったですね。バンドのメンバーが好きで、チューリップとかカプリシャスとか…。やっぱりちょっと変わった目で見られてたかな」という。
そんな野口が貫いてきた音楽の集大成として、結実している今回のツアー。デビューから56(ゴロー)年という、野口にしか味わえない“周年”での開催となる。「最初はあまり大したことないんだなって思ってたんですけど、やっぱりそうでもないのかなと。たまたま『五郎』っていう名前でやってて、今年と来年は僕にだけの特別な光なのかなと思ってるんで」と笑みを浮かべた。
デビュー55年、古希70歳。それでも、声にもビジュアルにも、衰えはまったく見られない。さぞかしこだわりの健康法が…と思い尋ねると、「何にもないですね」とあっけらかん。「ただもう、相変わらず音が好きで、音を追究してるっていうことだけ。やり切ったとか飽きるとかはないですね」と言い切る。
音へのこだわりが高じ、量子力学まで独学で学んでしまう。「気づいちゃいますね、もう、素粒子の世界だって」とサラリ。ついには、人間の耳には聞こえない深層振動が身体に及ぼす影響についての研究に取り組み、海外の学会にも出席するほどだ。
そんな“伝道師”野口五郎が、自信を持って送るフルオーケストラコンサート。「僕はまだ、道半ばです。今回『その夢の先』、ちょっと想像もつかない美しいものですよ。恐らくまだ誰も到達したことがない。両手両脇に夢をいっぱい抱えて、皆さんと一緒にそこをのぞいてみたいという気持ちですね」と、ファンに呼びかけた。
◆野口五郎(のぐち・ごろう 本名=佐藤靖)1956年2月23日生まれ。岐阜県美濃市出身。71年5月に演歌歌手として「博多みれん」でデビュー。8月発売の2ndシングル「青いリンゴ」からアイドルに転身して人気に。72年に史上最年少(当時)の16歳10カ月でNHK紅白歌合戦出場。74年「甘い生活」、75年「私鉄沿線」などヒット曲を連発。私生活では2001年にタレント・三井ゆりと結婚。1男1女をもうける。
◆billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2027 Beyond the dream!!~夢のその先へ~
昨年の前回公演に引き続き、全幅の信頼を置くマエストロ・渡辺俊幸氏がオーケストラアレンジと指揮を担当。バックには、各地を代表する名門である山形交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本センチュリー交響楽団、九州交響楽団がそろう。
大阪公演の2月23日は、71歳の誕生日当日。年齢は1つ上がるが、野口は「大きく言えば『変わらない何か』。時は流れてるんだけど、変わらないからこそ、続けて来ているからこそ、その先に見える何かを皆さんと共有できたらうれしいなと思います」と言葉に力を込めた。
