代表曲「オトナノススメ」マクドナルドCMで再注目!怒髪天ボーカル・増子直純が熱く語った紆余曲折の42年間「大人も悪くねえなと」
還暦上等だゼ!3人組ロックバンド・怒髪天が、来年2月までにメンバー全員が60歳を迎える“還暦イヤー”で、全60公演を超えるライブを敢行している。4月にリリースした新曲「トカイテ」を引っ提げて、5月から来年3月まで続く「還暦 RIOT“MORE FUTURE TOUR”」を展開中。ボーカル・増子直純(60)が還暦を迎えての心境や、バンド結成から紆余(うよ)曲折を経ての42年間も振り返り、今後の怒髪天についてまでを熱く語った。
4月に60歳の誕生日を迎えた増子。「50歳とは重さが違うね。映画も割引になっているし」と豪快に笑うが、胸に去来する思いも生まれていた。
数年前の父の死を経て「自分の残り時間を逆算してやらなきゃならないことは考えているかな」。残る時間に魂を燃やすもの-。それが怒髪天であることは変わらない。「まだ一撃必殺の曲もできていない。ライブも完璧なものをやりたい」と熱量は増すばかりだ。
道のりは波瀾(はらん)万丈だった。91年にメジャーデビューのために上京も、約1カ月で所属事務所が倒産。バンドブーム終了後の上京で「バンドをやることが一番カッコ悪い時期で、お客さんも全然入らない」。思いを伝えようにも伝えられないジレンマ。96年には一時活動を休止した。
だが、これが転機となる。増子はリングアナや実演販売、雑貨店などの職を経験。社会に触れ、大人に触れ「Don’t trust over30(大人を信じるな)」の思想が強いパンクへの向き合い方も変化する。
「大人を信じるなって何の話?みたいな(笑)。パンクやロックが標榜していたことが、実感を伴わなわないものだと分かった。大人も悪くねえなと」。09年の代表曲「オトナノススメ」の「オトナはサイコー!」という叫びは、空虚な思想へのアンチテーゼだった。
どんなエピソードも「楽しいけどね」と笑い、これまでを「苦しかったことはない」と言い切る。唯一「だいぶ苦しかったね」と語るのが、結成40周年となった一昨年のメンバーの解雇だ。
苦渋の決断に「4人でやるのが俺の中でロマンだった。解散という選択肢もあった」と胸の内を明かす。思いとどまらせたのは、ファンが埋め尽くすライブの光景だ。「怒髪天ってバンドが自分たちだけのものじゃなくなったなぁって」。つらくとも前に進む。その道を、3人は選んだ。
昨年4月発売のEP「残心」では、ギター・上原子友康が「完全に3人で作りたい」とベース演奏を兼務。1曲目の「決意の朝に」は、その覚悟が聞く者の涙を誘う。
「人生での別れに対してどう思っていくべきか。悲しみを悲しみとして受け止めないと、絶対に乗り越えられない。そういう歌を作りたかった」
今年4月に新曲「トカイテ」を発表。現在、メンバー3人が還暦を迎える“還暦イヤー”で計60公演を超えるライブを敢行している。怒髪天が最も大事にするライブ。「どのぐらい(思いを)手渡せるか。一緒に歩んでいくというかね」。その場所は、ファンと集う“心の現住所”でもある。
「怒髪天は自分の町の、何でつぶれないのか分からない定食屋みたいな。他の街から帰ったら、やっぱりこの味だなって。そういうものであればいいのかな」。この先もデコボコの道を3人は楽しみ、歩き続ける。だから怒髪天はサイコーだ。
◆「オトナノススメ」再注目 09年に発表の代表曲「オトナノススメ」が、再び注目を浴びている。昨年は俳優・堺雅人が出演のマクドナルドのTVCMに起用され、ウェブCM版ではお笑いコンビ・ドンデコルテの渡辺銀次が熱唱を見せて話題に。増子も「今になって評価されるのは、やっぱりうれしいよね」と話す。昨年12月には新録した「オトナノススメ~還暦上等!~」もリリースした。
そして、今年4月22日には新曲「トカイテ」を発表。「昭和の歌謡曲だとシングルのB面に名曲があったりする。だから『オトナノススメ』にB面があったらどうなのかなと作った」という、怒髪天らしいユーモアが詰まった一曲で“還暦イヤー”を加速している。
◆怒髪天(どはつてん)増子直純(Vo)、上原子友康(Gt)、坂詰克彦(Dr)の3人によるR&E(演歌)を掲げる3ピースロックバンド。1984年に札幌で結成。増子が高校卒業後に自衛隊入隊などの期間を経て、88年にオリジナルメンバー4人で本格的に活動を開始。91年に上京してメジャーデビュー。96年から3年間の活動休止も、99年に再始動した。04年にメジャー再デビューを果たし、09年の「オトナノススメ」が注目されるなどで全国区の知名度を得る。24年に現行の3人体制となった。
◆増子直純(ますこ・なおずみ)1966年4月23日生まれ、北海道札幌市出身。84年に怒髪天を結成。高校卒業後に2年間の自衛隊入隊期間を経て、活動を再開。91年に上京してメジャーデビューも、96年に一時活動休止後はリングアナや包丁の実演販売、雑貨屋などを経験し、99年に怒髪天の活動を再開した。インディーズでの活動を経て、2004年にメジャー再デビュー。バンドを軸にドラマ出演など幅広い活動を見せている。
