バウワウ・ボーカル 人見元基 英語教師経て本格復帰「人に伝える」共通点 初のソロアルバム、アナログ盤完売
1980年代に日本発の世界的ハードロックバンド、バウワウ(VOW WOW)のボーカルとして活躍した人見元基(68)が、13日に初のソロアルバム「Sings Standards」のCDをリリースした。昨年11月に発売したアナログ盤が完売したため、CDも発売することになったもの。県立高の英語教師から音楽の世界に本格復帰し、6月8日の東京・EXシアター六本木公演も完売と絶好調のレジェンドに聞いた。
初のソロアルバムをまずアナログで出した理由を、人見は「昔ながらのアーティストがアルバムを出すという意味みたいなところ」と明かした。
きっかけは大手音楽出版社スタッフのアプローチだったが、実現まで20年近くもかかったのは「公務員をやってましたんで、なかなかまとまった時間が取れなくて」と言う通り、バウワウ解散後に千葉の県立高で英語教師を長く務めていたから。教職を選んだのは「自分が歌うようなマーケットが日本にはなくて、もともと英語の教員もやってみたかったので」という理由だった。
歌手と教師では振り幅が大きそうだが「もともと自分の中にあるものなので何の違和感もない。(教員の間も)歌うことをやめていたわけではなくて、歌とか音楽が何もなかったことはないし、自分の中では両極端ということはない。人に伝えるというところでは共通点があるんじゃないかな。伝えたいことを分かるように伝えたいということです」と説明する。
選曲は「我が心のジョージア」や「サマータイム」などのスタンダードのみでハードロックはなく、アレンジや唱法もジャズやソウルなどの色が濃い。CDには長年の盟友・難波弘之との「イマジン」をボーナストラックで収録した。
その背景には「自分の音楽性とか歌も広く聴いてほしかった」という思いがあり、「ジャズとかR&B、ブルース、ソウルがバックボーンにあるので、その曲その曲で自分が歌いたい感じで、あくまでも人見元基の歌という感じで歌っています」という。
スタンダートやジャズが歌いたいという気持ちを、人見は古典落語やジャズに例える。
「古典落語もジャズも演目が何十年も前からあるわけですけど、演者によってまるで違う。演者の個性が出せて、他の演者と全く違うものができたり。同じ演者でも年齢によって変わって行くのが自然だと思っていたので。洋楽ではシンガーが演者の個性を出す生き方があるので、自分としてはそちらの方のシンガーかなというのがある」
アルバム1枚を吹き込むのはバウワウ解散以来35年ぶりだったが「歌ってレコーディングするという部分では時代のギャップは感じなかった」と振り返り、仕上がりには「バラエティーに富んで、いい感じにできあがったな」と会心の笑み。
アナログの完売には「びっくりというのはあるけどうれしいことで、ホントに多くの方に聴いてもらえてるんだなと」と手応え十分で、EXシアター六本木公演も即完というリスナーの反応には「毎回ライブに来ても同じではないんですよね、全く。そこら辺は面白いところだなと思うんで、その辺も楽しみに来てるお客さんがいるんだなと思います」と推測する。
今作を受けて5回のライブを行ってきたが、今回は3管が初めて入り、会場も拡大とアップグレード。人見は「ゴージャスなライブを楽しんでほしい」と呼びかけた。
◆人見元基(ひとみ・げんき)1957年10月1日生まれ。東京外語大卒。元カルメン・マキ&OZのメンバーらと組んだバンド「NOIZ」でキャリアを開始。解散後の84年、厚見玲衣(キーボード)の誘いでバウワウに加入。ロックの本場・英国で活躍し、ミュージシャンユニオンにも加入した。90年の解散後は英語教師に転身。2024年、本格的に音楽活動を再開。並外れた歌唱力と優れた英語力を持つ日本人離れした実力派シンガーで、国内外からリスペクトされている。
