【ヤマヒロのぴかッと金曜日】伝説のラジオ番組を聴いて、いろいろあった一年書き納め!!

 年の瀬は、大体その年の自分に関わる出来事を振り返りたがるもので、今年最後のコラムも当初はそんな感じでいこうと決めていた。

 やっぱり『じゃりン子チエ』で踏んだ大阪松竹座の舞台の裏話を書こうかな?そうだ、松竹座といえば歌舞伎。歌舞伎といえば、先週遅ればせながらやっと観ることのできた映画『国宝』メチャクチャ良かったなぁ。余韻が残っているうちに書こうか!いや、できればもう一度観に行きたい。コラムはその時に書こう!年明けに3時間(上映時間)も時間の取れる日はあったか?そもそも年明けまで上映してんのか!?

 あっ、そうだ!映画の感想の前に、松竹座の閉館発表で『関西・歌舞伎を愛する会』が存続を求める署名活動を始めた。そっちを先に書きたいけど取材する時間あるか?やっぱり今年も、年の瀬まで追われっぱなしだなあ…。

 とまあ、いろいろ考えながらも、実は今週一番気になっていたのが特別番組「新野新さんを偲ぶ 鶴瓶ひとりのぬかるみの世界」(12月21日放送・OBCラジオ)だった。そう、あの頃と同じ日曜深夜24時。ラジオ人口の少ない、次の日が気になる時間帯だ。1978年にスタートした伝説のラジオ『鶴瓶・新野のぬかるみの世界』が一夜限りの復活を遂げたのである。

 「チキチン」と呼ばれてたテーマ曲、デイヴ・グルーシンの『Catavento』が流れ、笑福亭鶴瓶さんが話し始めた。あの頃と全く同じ雰囲気だ。思いのままにしゃべる鶴瓶さんのスタイル。話がしょっちゅう脱線する。脱線したままリスナーそっちのけなんだけど、気がつけばどこかに一緒に連れてきてもらったような感覚に包まれる。唯一無二の鶴瓶ワールド。ただ今回は、鶴瓶さんを受け止める甲高い声は聞けない。「何を言うてんねん。鶴瓶くん、君なぁ!」。

 当時の若者から絶大な支持を受けていた鶴瓶さんが、この番組では、誰や知らん中年のおっさんにやり込められてる。時には2人で大笑いし、その直後に大モメ。そのおっさんははばかることなく自分の流儀、大人の心得、ルール(暗黙も含めて)を大いに語ってる。その人こそが放送作家の新野新さんだった。新野先生については、足跡を記した本が出版され、6月に当コラムで紹介したばかりだが、その3カ月後に帰らぬ人となった。

 あんなに赤裸々に互いをののしり合いながら、内面に潜む己の邪悪な一面を悪びれることなく、ラジオという公器を使って流し続けた番組は他にない。

 新野「大阪関西万博なんて、あんなもんキミ。だいたい失礼極まりないで。チケット買おう思てもネットで予約せぇやの、中に入ったら入ったで現金使われへんて、そんな失礼な話あるかいな」

 鶴瓶「そんなん言うんやったら、来週決まってる万博協会の仕事断ったらええやんか」

 新野「それは、行くがな」

 鶴瓶「なんでやねん。あっ、わかった。ギャラええからやろ!?いやらしわ~」

 新野「鶴瓶くん、君。失礼なこと言いなさんな!僕は、そういうことで動くような人間やありませんッ」

 鶴瓶「ナンボもらうの?10万?20万?」

 新野「鶴瓶くん、そんなお金のこと言うたらアカン」

 鶴瓶「うわッ、もっと高いんや。ほな絶対行くやんか」

 新野「行くよ。行って何が悪いの?」

 今レギュラー放送していたら、たぶんこんな感じが延々続く。これが私のバイブルです。ぬかるみよ、永遠に。皆さま良いお年を!(元関西テレビアナウンサー)

 ◇山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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