菊川怜 15年ぶりの映画出演で主演 東大在学中から芸能活動30年目前 今後は「悪い役とかやってみたい」

 15年ぶりの映画出演で主人公を演じる菊川怜(撮影・伊藤笙子)
 15年ぶりの映画出演で主人公を演じる菊川怜(撮影・伊藤笙子)
 「種まく旅人~醪のささやき~」ポスタービジュアル
3枚

 俳優として、タレントとして、そして3児の母として、さまざまなステージで輝きを放っている菊川怜(47)。公開中の「種まく旅人~醪のささやき~」では、15年ぶりの映画出演にして主演を務めている。東大在学中から芸能活動を始め、もうすぐ30年。多くの転機をへて成熟した人生を送る菊川に、久々に登場した銀幕への思いや、それぞれの立場で見据える今後の展望などを聞いた。

 映画出演は、2010年10月公開の「大奥」以来、ちょうど15年ぶり。菊川は撮影初日を「感覚を覚えてるかな?っていう不安はありましたね。どんな感じだったかな…っていうぐらい遠ざかっていたんで、ドキドキしました」と回想。長いブランクだったが「不思議ですけど、時がパッと飛びますね。よく撮影していたころに…、体が覚えてるっていうか」と、順応も早かったという。

 今作では兵庫・淡路島の老舗酒造を視察に訪れ、酒造りに魅入られていく農林水産省の地域調査官役を演じている。商業映画でありつつも、衰退しつつある日本の第1次産業にスポットを当てた作品。日本テレビ系「真相報道 バンキシャ!」やフジテレビ系「情報プレゼンター とくダネ!」で司会を務めていた社会派の菊川には、うってつけの役柄だ。

 「こういったテーマの映画作りがあるんだなって、今回初めて知って。そういう目的のもとで作るというのは、すごい深いというか、やりがいがありました。でも、ちゃんと中身はエンターテインメントであり、熱いヒューマンドラマで、純粋に楽しめます」。

 主人公のキャラクターを「日本史オタク。農林水産省の役人っていうより、ただ日本酒が好きだから、これからも飲み続けていきたい。だから守りたいっていう、もう“一点突破”っていうか、そこだけを大事にしている」と解説。自身と重ね合わせ「割と集中しちゃうとこう(一点集中に)なっちゃうところは似ているなと思う。でも彼女(主人公)は、心の垣根なく人間関係にストレートに入り込んでいく。そこは私とちょっと違うかなと」と分析した。

 東大在学中にスカウトされ、3年時に「東レキャンペーンガール」に選出され話題に。翌年にはドラマデビューも果たし、常にマルチな活動で第一線に立ち続けてきた自分自身を、どうカテゴライズしているのか。

 「考えてもわからないので、考えないです。俳優の時のスイッチがこうだとか、タレントのスイッチは…とか言いますけど、スイッチって何だかがよくわからないです。あるなら教えてほしいですね。やっぱり全部、自分がやってるから、情報番組のキャスターを演じてるとか、バラエティータレントを演じようとか、キャラクターを変えてるわけじゃないので」

 その自然体は、「芸能人」と「母親」の関係性でも変わらない。「やりくりは大変ですね。単純にタスクが多いので…」としつつ、「やらざるを得ないから対応してやっていくうちに、ちょっとずつ訓練されてっていうのかな」と、学習能力の高さも示した。

 「東大卒タレント」という肩書は、必然的に知性を期待される存在。東大という“色眼鏡”が自身に与えた影響はあったのだろうか。その問いには「分からないので、あえて全く考えないようにしてるってのが正直なところですね」と答えた。

 「もちろん、東大だからこう、っていう感じの枠もあったと思います。でもそれは、全体じゃなくてピンポイントの話ですし、私自身がどうにかできることではないので、そこは考えても疲れるだけだし、特に考えないようにしてます。あらがっても何か、余計に変な感じになっちゃうし、じゃあ『それを武器に』とか思っても、それはそれで変になっちゃうっていうか、デメリットの方が大きいかなと思うから、自分でどうにもできないことはあえて放棄って感じで割り切ってます」

 30年弱の芸能生活を「いろんな人に支えられて、目に見えてなかった部分にいっぱい気づいた」とし、3児の母となってみて「自分の親が、本当に私のことを、苦労して、大変な思いをして育ててくれたんだなってところに感謝の気持ちが本当なかったなって」と反省も口に。自身の子供たちに同じ道を歩いてほしいという気持ちは「全くないです。子供たちには自分で道を切り開いて、たくましく生きてほしい」としつつ、現在の自身を「楽しいです。毎日生き生きとしてる。もちろん困難はいっぱいあって大変なんですけど。一方で楽しく喜びもあって」と明るく語った。

 今後は俳優としての活動も本格的に再開していく。今後やってみたい役を問うと「悪い役とか、癖のある役とかやってみたいですね。コメディーが好きなので、堺(雅人)さんが演じられた『リーガル・ハイ』の古美門弁護士みたいなのとか…。例えばですけど」と意欲十分。新たなフェーズに入った予感が漂った。

 ◇菊川怜(きくかわ・れい)1978年2月28日生まれ。さいたま市出身。桜陰高から東大理科一類・工学部建築学科。1997年にスカウトされオスカープロモーション入り。98年にファッション誌「Ray」の専属モデルに就任。「’99年度 東レキャンペーンガール」に選出される。99年にフジテレビ系ドラマ「危険な関係」で女優デビュー。2002年10月スタートの日本テレビ系「真相報道 バンキシャ!」7年間キャスターを担当。12年7月にフジテレビ系「情報プレゼンター とくダネ!」のサブ司会に就任。17年9月に降板。

 ◆「種まく旅人~醪のささやき~」 農業や漁業といった日本の第1次産業を応援する映画「種まく旅人」シリーズの第5作。兵庫県淡路島を舞台に、老舗酒蔵と地元産の酒米「山田錦」をテーマに、人々のものづくり精神と現場での課題を描き出した作品。共演に金子隼也、清水くるみ、朝井大智、山口いづみ、たかお鷹、白石加代子、升毅、永島敏行ら。

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