フジテレビ・木村拓也アナ 人に報道に趣味に熱く真っすぐ 被災地取材で悲しみに触れ防災士資格取得
フジテレビ・木村拓也アナウンサー(35)は、熱い男だ。報道番組「Live News イット!」(月~金曜、後3・45)の情報キャスターとして第一線に向かい、血の通った言葉で現場を伝えて続けている。被災地での取材活動を通じ、一歩踏み込んだ形で力になれないかと考え、防災士と上級救命講習の資格を取得。アナウンス局の防災班のリーダーとして指揮を執り、防災を呼びかける動画プロジェクト「備えよう」にも携わっている。プライベートはヨガの趣味が高じ、休日は副業でヨガ講師を務める。全ての事に真っすぐ挑む熱血アナの素顔に迫った。
どんな現場でも対応できるように、木村アナは万全の準備を怠らない。服装は、動きやすく破れにくい素材のズボンが基本。現地に急行できるように1週間分の取材活動ができる用具を詰め込んだキャリーケースを会社に常備するなど、報道人の鑑だ。
同局のアナウンス局には、災害報道の向上に取り組む「防災班」が存在する。21年7月の熱海市伊豆山土石流災害をきっかけに発足。有事の際にオンエアに携わる人だけでなく、チームでサポートすることを目指し、月2回の勉強会を開いている。木村アナは防災班のリーダーのほか、報道局災害対策チームを兼務。全社的な防災プロジェクトにも携わっている。
防災士の資格を保持。取得したのは「十何年のキャリアのうち、ほとんどが現場取材。災害地に行き、人の悲しみに触れる機会が多かった。現場を伝える必要がある一方で、苦しんでいる皆さんの力に何かなれないかという気持ちがずっとありました。物を渡すという手助けは難しい。自分が持っている知識を組み合わせて、人として少しでも役に立てたら」という思いからだった。
9月1日は防災の日。アナウンス局では、10人のアナウンサー(今後4人増える予定)が防災士の資格を持つなど、防災意識が高まっている。7月のカムチャツカ地震の際は、アナウンサーが交代で放送に対応した。オンエア外のアナウンサーも他局の情報や専門家のコメントを共有し、伝わる放送を目指した。他局から一連の対応を称賛されるなど、防災班での活動が生きた瞬間だった。
木村アナの報道人としてのモットーは「そこにいる人の呼吸をできるだけ乱さないようにすること」だ。日航機墜落から40年の今年、遺族とともに御巣鷹山を登った。後日、遺族から「40年間登っている中で一番心が軽かった。40年の思いを素直に話せた。木村さんに話せたことは宝物です」と書かれたメッセージが届いた。「電車の中で泣きそうになりました。人と真っ正面から真摯に向き合って、この人のために何かできないかという姿勢がダイレクトに誰かのためになる美しさがこの仕事にはある」。アナウンサーという仕事のやりがいを感じながら、人としても成長している。
さまざまな感情を受け取る報道の最前線に向かうため、メンテナンスは欠かさない。コロナ禍でヨガにハマり、バリにヨガ留学へ。ヨガインストラクターの資格を持ち、休日は副業としてヨガ教室の講師を務めている。毎朝ヨガで心身を整えてから出勤することが日課で、「報道に向き合っていると、どうしても心がすり減る。僕は日頃、どんな仕事でも『ご機嫌でいること』と心がけています」と白い歯を見せる。
休日はアクティブレスト派で、ハマった物はとことん追究。趣味が高じて温泉観光士、サウナ・スパ健康アドバイザー、日本茶検定1級など多数の資格を所持することからも、「どちらかというと職人肌で、この職業が向いているのはそれかも」と天職を実感。熱いまなざしで「地道に小さな信頼を積み重ねた人になりたい。10、20年たった時、すごく肩の力が抜けていて信頼できるアナウンサーでありたい」と将来像を描く。どんなことも追求し、熱く真っすぐ取り組んで行く。
◇木村拓也(きむら・たくや)1990年8月1日生まれ。茨城県出身。法政大学法学部卒。13年4月にフジテレビに入社し、キムタクの愛称で親しまれる。現在は「Live News イット!」で情報キャスターを担当。能登半島地震被災地域からのドローン中継で「第41回FNSアナウンス大賞」で大賞を受賞した。趣味はヨガ、サウナなど。
