大阪・ミナミのシンボル「味園ユニバースビル」が完全営業終了 ラストライブに777人 かつては日本最大級キャバレー営業

 大阪・千日前の複合商業ビル「味園ユニバースビル」が5日、営業を完全に終了し、約70年の歴史に幕を閉じた。

 日本が高度経済成長期を迎えた1956年に開業した「味園ユニバースビル」は、当初はダンスホールとして始まり、複数の空中ステージを備えた日本最大級キャバレー「ユニバース」がオープン。その規模は当時としてもかなりのもので、従業員を募集するチラシには「社交係 3000名大募集」という文字が躍る。

 その後はディスコ、ホテル、サウナ、5階には最大500人収容の大宴会場を備えたレストランなど、様々な施設が集まり、大阪・ミナミのシンボルとして長年存在し続けてきた。

 20年に宴会場が休業し、昨年末に2階の飲食店フロアが閉館。最後まで営業していた地下のライブハウス「味園ユニバース」がこの日ラストライブを迎えた。2日から行われていたファイナルイベント「AUGER ART ACTION『味園大宇宙展』 presented by COSMIC LAB」の最終日、FINALBY()によるライブでは777枚のチケットが完売。キャバレー時代の装置などの名残も残るフロアに人が押し寄せた。

 約25年間、同所を拠点に活動してきたクリエイティブプロダクション「COSMIC LAB」の高良和泉氏は「挑戦的なことをずっとやり続けてきて、いろんな側面のあるビル。独創的な建物、空間設計、事業展開にひかれ、その精神を受け継ぎながら活動してきました」と、懐かしそうに振り返る。高良氏がビル内の小部屋から発見した大量のチラシや資料には、かつてキャバレーなどで「特別ショウ」を実施した、松方弘樹、千葉真一、丸山明宏(現・美輪明宏)、梶芽衣子、横山やすし・西川きよしなど、そうそうたる面々が名を連ねる。

 近年は2階に集まった多種多様な飲食店に注目が集まり、2015年には当時関ジャニ∞の渋谷すばる主演で、同ビルを舞台にした映画「味園ユニバース」も製作。若者を中心としたアングラ文化の発信地としての役割も果たしてきた。高良氏は「この規模感でこんな面白い場所ってなかなかないと思うんですよね」と、大衆文化からアングラまで、様々なカルチャーを生み出してきた特異なビルの閉館を惜しみつつ、「新しい始まりになってくれたらいいですかね」と、次なる文化の誕生に期待を寄せた。

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