映画人、ジャニーズファン集う大人の社交バー 渋谷すばる主演「味園ユニバース」に登場

 大阪・ミナミの千日前に立つレジャービル「味園ユニバース」は1956(昭和31)年の開業からさまざまな変遷を経て、今も強烈な個性を放つ。赤と青の渦巻くネオンは千日前のランドマークだ。2015(平成27)年、関ジャニ∞の渋谷すばる(35)主演で同名の映画が公開。劇中に登場したバー「マンティコア」は同ビルの2階にあり、映画人とジャニーズファンも集う“大人の社交場”だ。

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 記憶喪失になった男(渋谷)が野外ライブ中のバンドから突然マイクを奪い、圧倒的な歌声を聴かせる。映画「味園ユニバース」は謎めいたシーンから始まる。

 そのバンドは大阪を拠点に活動する14人編成の「赤犬」で、本人役で出演した。「マンティコア」のマスター岡澤理秀さん(42)は赤犬のベース担当リシュウ。同作の山下敦弘監督とは同じ大阪芸術大出身で旧知の仲である。「山下から『映画撮るから1カ月ほどスケジュール空けといてくれ』と連絡があったけど、メンバーは本気にしてなかったね。まさかジャニーズと共演なんて」と予想外の展開だったことを笑った。

 ふたをあけてみると赤犬は“準主役級”。渋谷と絡むシーンも多く、岡澤さんは「彼はバンドへの憧れがあったようで、僕たちにも礼儀正しく接してくれた。歌もめちゃめちゃうまくて、ええ男でした」と振り返った。店も作品に登場し、医師のマキコ(鈴木紗理奈)がカレーを食べる場面などが撮影された。

 味園ユニバースビルの2階には40軒ほどのバーや飲食店が並ぶ。明かりは薄暗く、いかにも怪し気な空間に「マンティコア」の真っ赤な扉が目立つ。オープンは2007年。ビルが開業した1960年代は1階~3階が吹き抜けの東洋一と呼ばれたキャバレーと、宴会場、ダンスホール、サウナなどがあり、やんちゃな大阪そのものだった。

 「バーを開いたのは、山下をはじめ大阪を離れて頑張ってる連中が帰ってきた時、集まって飲める場所があればいいなぁと思って」。映画人が集い、映画公開時はジャニーズファンの女性たちも遠方からやってきた。

 自慢のお酒は「珈琲焼酎」(600円)。コーヒー豆を、宮崎の麦焼酎に漬けこんだ。コーヒーのコクと香りが漂いグラスに琥珀(こはく)色が映える。

 常連の村井泰隆さん(48)は「ここらは風俗店が多くて足を踏み入れるのに勇気がいったけど、最近は変わって観光客も増えてきた。この店は意外と安いのも魅力ですよ」。公開から2年。岡澤さんは「山下が大きな予算を獲得して大阪の映画を撮りに帰ってきた。幸せな現場でした」と懐かしんだ。

 ◆「バー マンティコア」 大阪市中央区千日前2の3の9 レジャーシティー味園ビル2F 営業午後8時~翌5時ぐらいまで。不定休。TEL06・6586・9785。地下鉄なんば駅から約5分、日本橋駅から約2分。店名はインドの神話に登場する怪物から。

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