ひょうろく ドッキリと思った初大河出演 水ダウ企画でブレークの怪芸人 現場に渡辺謙「現実が分からなくなって」
お笑いタレントのひょうろく(37)が、NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(総合、日曜、後8・00)で異彩を放っている。松前藩主・道廣(えなりかずき)の弟・廣年役。TBS「水曜日のダウンタウン」のドッキリ企画でブレークした怪芸人が、吉原で誰袖花魁(福原遥)から“抜荷ドッキリ”を仕掛けられた。大抜てきを受けた初の大河はどんな現場だったのか。終始、口元に手を当て「もう1回最初からやりたいくらい」と恐縮しながら振り返った。
さすがにドッキリだとは思ったらしい。半信半疑で撮影現場に行くと、田沼意次役の渡辺謙がいた。「一瞬(ドッキリかもと脳裏に)あったんですけど、渡辺謙さんがいたので、渡辺謙さんが僕のために動くことはないなって。何が本当か嘘か現実が分からなくなってるんですけど…スタッフさんが『これドッキリかもよ?』って言ってくださってたので、逆にドッキリだとそういうこと言わないので」。独特のたどたどしい口調で、初大河を振り返った。
演じる廣年は、吉原で誰袖花魁のハニートラップにまんまとハマり、松前藩を危険にさらそうとしている。抜荷がいけないことと分かりながらも、花魁の魅力に抗えない。揺れ動く家老の悲哀が滲み出ている。
現場では「演じるのは意識しなくてもいいです。ただ、凛としてかしこまり過ぎないように」と演出を受けたという。「平民で38年間生きてきたので、ずっと悩んでました。上の人の立場で、たやすくひれ伏さないというか…。何回か(リハを)重ねて『こいつもう言っても…』みたいな感じだったかもしれないです」。インタビュー中も終始、恐縮しきりだった。
家老の立ち振る舞いには苦戦したが、花魁の色仕掛けには素のまま翻弄(ほんろう)された。誰袖役の福原について「すごく色っぽい。ドキドキしないといけないシーンではあったんですけど、本当にドキドキしていて(手を握られ)ありがた~いと思って。(役の)廣年が消えてしまっていたかもしれないです。誰袖さんの意図は台本で『狙いあるよな』ってわかるんですけど、好きなんじゃないか、自分でも情報流しちゃうよなって思いました」とメロメロだった。
バラエティでブレークし、演技の仕事も続々。過去のキャラクターとまったく違うことが「水ダウ」のドッキリ企画になったこともあるが「どうして今の状態になったのかっていうのは、自分ではよくわからなくて、僕に聞かれてもなってくらい。俳優さんをするのも『気がついたら、あっ、大河』って感じで、挫折して頑張れ、挫折して頑張れで今があるなと思います。演技の仕事もそうですけど、いただいた仕事を一生懸命頑張る。面白い仕事があったら挑戦してみたいです」と現状を冷静に見つめていた。
◇ひょうろく 1987年7月7日生まれ。鹿児島県出身。2012年にお笑いコンビ・ジュウジマルを結成。20年に解散後、ピン芸人に。YouTube活動と並行し、バラエティー番組でも活躍。TBS系「水曜日のダウンタウン」などとする番組に出演し、独特なキャラクターで注目を集める。25年放送のBS日テレ「コンシェルジュの水戸倉さん」でドラマ初主演。
