アルツハイマー型認知症公表の橋幸夫 治療法は?決定的な方法ない現状 医師の見解

 歌手の橋幸夫(82)が中等度のアルツハイマー型認知症を発症していることが20日、分かった。橋が所属する夢グループの石田重廣社長が同日、都内で会見を行い公表した。医師の診断書によると、橋は2020年頃から失見当識が見られ、22年12月の精査で軽度のアルツハイマー型認知症と診断。その後も症状が進行し、24年12月の精査で中等度と診断された。また、陳旧性脳梗塞を併発していることも明かされた。今後は症状の進行を遅らせる治療の一環でマイクを握り、歌手として仕事を続ける橋。これからの治療法について、兵庫・芦屋の「松本クリニック」松本浩彦医師の見解を聞いた。

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 橋幸夫さんが「アルツハイマー型認知症」と公表されました。脳の神経細胞が減ってしまうことで認知機能が徐々に低下していく病気で、患者数は人口10万人あたり20人程度といわれていますが、この先増えていくのは間違いありません。症状はゆっくりと進行し、患者の約半数が発症から5~6年で寝たきりとなり、発症から死亡に至るまでの平均期間は約10年とされています。

 原因は完全には分かっていません。特定のタンパク質が脳内にたまることで神経細胞が減少すると考えられていますが、特に記憶に深く関わる海馬(かいば)という脳の一部が萎縮します。そのため最初にみられる症状はもの忘れです。昔の記憶はあるものの最近のことをすぐ忘れる、同じことを繰り返し聞く。やがて、日付が分からない、約束を忘れる、道に迷うなどの症状が起こり、もっと進行すると、昔のことも忘れ、日常生活を1人でできない、徘徊、攻撃性などの症状もみられ、最終的には言語機能や身体機能も低下し、寝たきりになります。

 現在、アルツハイマー型認知症を根本的に治す治療法はありません。進行を遅らせるとされている薬はありますが、他に抗精神病薬、睡眠薬、抗うつ薬が使われるものの、どれも対症療法で原因を完全に取り除くものではありません。最近、認知症を専門としたクリニックが多く開院しています。しかし、まだ決定的な治療法が見つかっていない現状では、薬で病気の進行を遅らせる、言語や運動能力低下に対するケアやリハビリテーション、運動療法、音楽療法などが治療の中心です。

 先日、千人の健康な日本人を対象としたアンケートで、この先一番かかりたくない病気のナンバーワンが、このアルツハイマー病だったといいます。確実な予防法も見つかってない現状、罹患しないことを祈るしかない、というのが正直なところです。

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