長野の猟銃発砲立てこもり事件、警察官が防弾チョッキを着用していなかった理由 元刑事が解説

 立てこもり現場となった長野・中野市の青木政憲容疑者の自宅(撮影・小川泰平)
 長野県中野市で、男が立てこもっていた住宅(共同通信社ヘリから)
 男が立てこもった住宅付近にある建物脇でシートがかけられたパトカー
3枚

 長野県中野市で男が猟銃を発砲するなどし、警察官らが死亡した事件で、県警は26日、男の身柄を確保した。男は青木正道・市議会議長(57)の長男・青木政憲容疑者(31)で、自宅に立てこもっていた。自ら投降し、警察官1人に対する殺人容疑で逮捕された。取り調べに対し、青木容疑者は容疑を認めているという。

 負傷したまま屋外に残されていた女性は26日に死亡が確認された。死者は、警察官2人と刺された別の女性を含め合計4人となった。

 25日午後4時25分ごろ、長野県中野市で「男が女性を刺した」と110番通報があり、駆け付けた警察官が猟銃で撃たれた。男は青木正憲容疑者で、自宅に立てこもった。25日夜から26日未明にかけ、青木容疑者の母親ら女性2人が自宅から相次いで逃げ出し保護された。青木容疑者は同日午前4時半すぎに投降し、身柄が確保された。

 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は事件発生から一夜明けた26日に現地を取材。デイリースポーツに対し、警察官が犠牲になった理由などを分析した。

 青木容疑者は通報を受けてパトカーで駆けつけた警察官2人を、散弾銃で撃ち殺害した。小川氏は警察官が防弾チョッキを着用していなかったことについて「不思議に思われるかもしれないですが、通常、着用しているのは防刃ベストなんです」と説明した。警官が負傷するのは、銃よりも凶器による犯罪が圧倒的に多いということもあり、通常は刃物に強い防刃ベストを着用しているという。

 さらに防弾チョッキが重く、動きにくくなることも付け加えた。1人ひとりが常に着用している防刃ベストと違い、署内やパトカーに置いてあるものを、自ら着用する必要もある。小川氏は「通報が『男が女性を刺した』というものだったので通常の防刃ベストで現場に駆けつけたのだと思います」と分析した。

 青木容疑者は最初に女性を刺した後に、いったん自宅内に入ったという目撃談もある。小川氏は「パトカーのサイレン音を聞いて、青木容疑者が自宅に猟銃を取りに戻った可能性もある」とした。警察官がパトカーを降りる前にちゅうちょなく撃ったとみられるため「警察官がきたらそのような行動を取ろうと決めていたのでは」と推測した。

 青木容疑者は取り調べに対し、容疑も認めているとされる。しかし、動機が明らかにされておらず、小川氏は「青木容疑者は、動機に関しても何らかの話してはいるが、発表出来るような内容ではないということ」と分析した。今後の捜査については「動機は何なのか、ということがポイント」とした。また、青木容疑者の父である青木正道市議会議長が事件発生時には自宅にいなかったことも指摘し「青木容疑者が父親が不在だったことを分かっていたのか、分かっていなかったのか」という点にも注目した。

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