世界的ウクレレ奏者・名渡山遼の信念「下の世代につないでいきたい」
超人的なテクニックで世界的に活躍するウクレレ奏者・名渡山遼(29)が先月、クリスマスアルバム「ハッピー・ウクレレ・クリスマス」をリリースした。22日に東京・KIWA TENNOZで、人気ピアニストの西村由紀江(55)を迎えての発売記念クリスマスライブを控えている名渡山が、実は冬やクリスマスにもぴったり合うというウクレレの魅力や、超絶テクニックの秘密について語った。
◇ ◇
名渡山がウクレレを手にしたのは11歳。その後、世界的に人気のジェイク・シマブクロのDVDを見て「かっこいいな、弾けるようになりたいな」と独学でコピーしていった。
超絶技法で知られるが「すぐに何でもできちゃうタイプではないからコツコツやる。繰り返しやることで最終的に忘れない。練習って、身になるには時間が必要。すぐできるタイプの人は時間をかけることになかなかモチベーションが保てない。自分はちょっとずつできるようになる感じが楽しかったので」と秘けつを明かす。
頭角を現すのは早かった。14歳にして東京・原宿クロコダイルでワンマンライブ。憧れのジェイクとは高校時代に東京・オーチャードホールで共演した。大学2年時、押尾コータローが東京国際フォーラムをアコースティックギター1本で埋めた姿を見て、プロになることを決意した。
人生を決めたウクレレの魅力を、名渡山は「音色にすごいパワーがある。一瞬聴いただけで、海とか南国とか自然のパワーを感じられるのはなかなかない」と説明。「音の響き、サステイン(持続)が短くて減衰する感じが、ガーッとストロークしてもリズムが出しやすい。サステインの短さが、はかなさとか切なさみたいなものも表現できて。どんなジャンルもできる、すごいポテンシャルを秘めた楽器」だという。
新作はクリスマスアルバム。ウクレレは南国の印象が強いが「減衰の速さが切なくて。減衰の速さで、ハキハキとストロークしてウクレレらしいアレンジもできるし、しっとり聴かせる時もはかなさが冬のエモーショナルな感じを演出できる」と解説する。
クリスマスのスタンダード曲が並ぶ中、新曲「The First Snow with You 初雪をあなたと」は大ファンの西村と共作・共演。「僕の中から出てくるフレーズと西村さんの中から出てくるフレーズが良い感じで交わる曲」と自信を見せた。
名渡山には2つの信念がある。「ジェイクが僕らに影響を与えてくれたように、このカルチャーを下の世代につないでいきたい」と「世界中に自分の音楽を届けたい」だ。「足がかりになるアルバムになればと心を込めて」制作した本作を「ぜひ聴いていただきたいな」と熱を込めた。
◆名渡山遼(なとやま・りょう)1993年1月13日生まれ、埼玉県出身。11歳からウクレレを弾き始める。2016年、ハワイの「ナ・ホク・ハノハノ・アワード」で日本人として史上最年少受賞。同年メジャーデビュー。これまで米国、英国、イタリア、豪州、香港、タイ、台湾、中国、カナダで公演を行い、21年には英ウクレレ専門誌「UKE MAGAZINE」で日本人演奏者初の表紙を飾る。愛用のウクレレは全て自作。
