【気象予報士・天達武史氏コラム】台風+秋雨前線の「最悪コンビ」に注意

 9月は台風シーズン。今年は8月前半まで台風があまり発生しませんでしたが、8月後半から日本の南海上に「モンスーントラフ(熱帯収束帯)」という風が集まるエリアが形成され、台風や熱帯低気圧が発生しやすい環境に変わってきました。しかも日本列島には秋雨前線が停滞するなど大雨の降る環境が整ってきています。

 秋雨前線ってシトシト雨が降る印象があるかもしれませんが、日本のすぐ南に台風があると、秋雨前線を刺激して台風が上陸しなくても大雨になることがよくあります。「台風+秋雨前線」は過去に何度も災害をもたらした最悪コンビ。9月は最も大雨に警戒する時期と言えそうです。

 梅雨と秋雨の平年の降水量を比べてみると、東京では梅雨(6~7月)324ミリ、秋雨(9~10月)459・7ミリと約1・5倍も秋雨が多いんです。

 この傾向は東日本や北日本で顕著です。梅雨にそれほど雨が降らなくても、秋雨前線が活発化して大雨になることがあります。この時期は最新の天気予報をしっかりチェックしてください。

 秋雨は例年10月前半までですが、今年は降水量がやや多く予想されているので、台風接近も含め10月いっぱい注意が必要かもしれません。

 そんな台風にもメリットがあります。水不足解消の給水車の役割をしてくれるのはもちろん、海水をかき混ぜて上がりすぎた海面水温を下げてくれます。

 このおかげで例えばサンゴの白化現象を防ぐとともに、そこに住む生物を守り、深い海に酸素を運んだりして、生態系のバランスが崩れるのを防いでくれています。

 今年の台風シーズン、私たちは自分のいる地域をよく知った上で、防災の3K「(危険に)気づく、(どうするか)考える、(早めに)行動する」で、しっかり備えて秋晴れシーズンを待ちましょう。

 ◆天達武史(あまたつ・たけし)1975年生まれ。神奈川県横須賀市出身。高校時代は野球部に所属。2002年に気象予報士試験に合格。05年10月からフジテレビ系「情報プレゼンターとくダネ!」、21年3月から「めざまし8」のお天気を担当。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス