「ドライブ・マイ・カー」濱口竜介監督が凱旋会見 ハリウッド足を地に着けて「挑戦してみたい」
第94回アカデミー賞で、13年ぶりに国際長編映画賞を獲得した映画「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(43)、主演の西島秀俊(51)、山本晃久プロデューサー(41)が5日、東京・日本記者クラブで受賞会見を行った。
濱口監督はオスカーを手に登壇。受賞した時の心境を「直前に至るまでオスカーが自分の人生に関係してくるとあんまり思わなかった。全く別世界だと思っていたので、これがどういう意味を持つのか、今目の前に広がっている光景をみても、今までこんなカメラにさらされた事もないですし、こういうことなんだなと思っている。自分が今まで体験したことの無い世界に導いてくれるようなものだろうという気がしています」と率直に語った。
「この映画がこれだけ多くの国に受け入れられたこと、私自身驚いて受け止めています。どうして受け入れられるのか、正直わかるわけがない」としつつ、「確かに言えるのは村上春樹さんの物語。喪失と再生とまでは言えないですけど、どうやってそれ(喪失)を受け入れていくかという物語の編成は国境を超えて受け入れられるものだったし、村上春樹さんの物語を俳優の方たちが具現化するのは大変だったと思うけど、説得力のあるカタチで画面に定着させていただいたのが一番大きかった」と振り返った。
ハリウッドからのオファーがあれば?という問いには「これはわからんというのが正直なところです。具体的に物語を読んで響き合うところがあるなと思うときにやりたいと思う。(昨年、米映画「ノマドランド」で作品賞、監督賞を受賞した、中国人映画監督の)クロエ・ジャオさんとお話ししてアドバイスをいただいたのが、『ステージで正気でいなさい』と。重い言葉だと思いました。足を地に着けてやっていけるような題材や体制があれば挑戦してみたいなと思います」と意欲を見せた。