河原れん氏 企画・脚本&女優もマルチに 映画「HOKUSAI」に魂込めた

企画・脚本を務め、北斎の娘役で出演も果たした河原れん氏(撮影・伊藤笙子) 
 北斎の晩年期を演じる田中泯(中央)と、その娘・お栄を演じる河原れん氏(右端)
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 俳優の柳楽優弥(31)と舞踊家の田中泯(76)が2人1役でダブル主演し、江戸後期の浮世絵師・葛飾北斎の生涯を描いた映画「HOKUSAI」が公開中だ。3万点以上の作品を残しながら青年期の資料がほとんど存在せず、謎めいた人物像をまとめ上げたのが企画・脚本を務めた作家の河原れん氏(40)。製作の舞台裏を聞いた。

 当時としては超異例の90歳まで生きた北斎をどう描くか。河原氏はどの時代に誰と会い、どんな作品を完成させたか年表を制作し、プロット段階では「北斎対(歌川)広重とかVS系の話もありました」と明かす。

 「年老いた北斎が、若い広重の才能に嫉妬し、アーティストとしての魂を燃やすってことを描くこともできる。それも結構やったんです」とさまざまな構想をスクラップ&ビルドし、プロットの書き直しは30回を数えた。

 最終的に13稿まで伸びた脚本がまとまり始めたのは8稿から。90年の人生を春夏秋冬に分け、全体を貫くテーマとして「表現と自由」を北斎に重ねた。

 俳優陣の熱演もあり「編集でざっとつなげたら最初は3時間45分くらいになっちゃった」と笑う力作が完成。北斎の資料調べをきっかけに、別の“作品”も生まれたという。

 晩年の北斎が脳卒中で倒れた際、治療に使用した薬のレシピが現存している。ものは試しと作ってみたところ、ひょんなことから美容効果があることを発見。映画と並行して論文を執筆し、発酵スキンケアブランド「ソフィスタンス」を立ち上げた。

 マルチでパワフル。ジャンルにとらわれない。「その時々に楽しいと思ったことに魂を込めてやってみる、ですね」と軽やかにほほ笑み、視線は次作を見据えていた。

  ◇  ◇

 ◆河原れん(かわはら・れん)1980年12月29日生まれ。東京都出身。上智大学法学部卒。07年に小説「瞬」で作家デビュー。09年に公開された映画「余命」の脚本を手掛ける。11年刊行の「聖なる怪物たち」は翌12年にドラマ化。映画「HOKUSAI」には北斎の娘・お栄役で出演も果たしている。

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