パスカルズ メンバー三木黄太さんの一周忌に配信ライブ&最後の音源リリース

パスカルズ。後列左端が三木黄太さん、中列左から2人目が松井亜由美、前列左から2人目がロケット・マツ
パスカルズが手がけたNHKドラマ「となりのマサラ」のサウンドトラック盤
2枚

 前田敦子主演のドラマ「毒島ゆり子のせきらら日記」や黒木華主演のドラマ「凪のお暇」などの劇伴音楽を手がけた14人組インストゥルメンタルバンド「パスカルズ」が27日に配信ライブを行い、29日にはNHKドラマ「となりのマサラ」のサウンドトラックアルバムをリリースする。昨年4月27日にチェロの三木黄太さんが59歳の若さで急逝してから1年。一周忌を迎えたバンドの思いを、バンマスのロケット・マツ(アコーディオン他)と松井亜由美(バイオリン)が語った。

  ◇  ◇

 三木さんは家具職人でもあった。個性的な家具はセレブにも人気で、テレビ東京「TVチャンピオン2」の家具職人選手権(2007年)では決勝に進んだほどの腕前。工房で亡くなっているところを見つかり、検視の結果、心臓に起因する突然死と推測された。2日前にメンバーとのリモート飲み会を開くなど元気だったという。

 結成から四半世紀を共にしたマツは「全く信じられない。メンバーの誰かがそういうふうにいなくなっちゃうことは全然考えていなくて」と、突然の別れのショックを振り返る。40年来の友人だった松井は、遺体と対面したが「いまだに実感はない」という。

 「ポジティブで明るいから、グループの中でああいう人がいるととてもいい感じになる。海外ツアーでも必ず“三木bar”を開いてくれて、集まるところができたり。思考的には相当ユニークでマニアックだから、話をするとすごく面白い人でした」と、頼れるムードメーカーだった三木さんをしのんだ。

 コロナ禍でライブもなく、マツは「パスカルズ、もう活動しなくなるのかな」とまで感じたが、昨年10月17日に配信で開催された山形の肘折国際音楽祭からオファーされ、ゲストを招いてライブを行い、再始動した。

 今回の配信ライブは「ゲストを呼ばずにメンバー内で低音パートをフォローしたり、工夫をしてやってみようというライブで。1年後でやっと、三木さんの命日に集まって演奏できる機会」(マツ)となる。

 「13人で埋めることで三木さんの存在をしっかり感じようっていう意識で、ギターの金井(太郎)君が提案してくれた。僕はすごくいいと思う」(マツ)

 ドラマアウォード2020でローカル・ドラマ賞に選ばれた「となりのマサラ」のサントラは「三木さんと一緒にやった最後の仕事」(松井)だ。マツは「すごく命日、追悼という感じではないんですけど、日にちとしてはその日に集まるという意識ですかね。CDも『三木さん、できたよ』という」と、一周忌を迎えるバンドの心持ちを明かす。

 今回のライブに向けて、松井は「トライですよね」と言う。

 マツは「パスカルズは生き物みたいなところがあるから、三木さんの抜けたところがちょっと不格好になりながらも自然に埋まっていくのか、不自然な感じか、ちょっと分からない。パスカルズは1人欠けてもガタッとなっちゃうタイプだったので、三木さんがいなくなっちゃったことはすごく大きい。ただ、やっぱり続けていきたいという意見のメンバーもあって、そういう意見がなかったら僕はあの時点でちょっと(継続は)分からなかった。とにかくやってみてって感じですかね」と、率直に語った。

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 ◆パスカルズ 1995年結成のアコースティックオーケストラ的なグループ。さまざまな楽器を用いた知的で開放感がある独自のサウンドは海外で評価が高く、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、ドイツ、スイス、英国、豪州、ニュージーランドなどで公演を行っている。大林宣彦監督、東陽一監督、山下淳弘監督、河瀬直美監督、ケラリーノ・サンドロヴィッチらトップクリエイターとのコラボも多い。

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