神保彰“つながってる感” 世界的ドラマーが3枚同時アルバムリリース

 世界的なドラマーの神保彰(61)が元日、オリジナルアルバム「28 NY Blue」、「29 NY Red」、「30 Tokyo Yellow」を3枚同時リリースするという離れ業を演じた。1980年にカシオペアでデビュー後、さまざまなバンドやユニット、ソロでJフュージョンをけん引してきたキャリア40年の大ベテラン。最前線に立ち続ける、その心意気に迫った。

 神保は過去3年、元日にオリジナルアルバムを2枚ずつ出しており「次は3枚しかない」、「3枚作ると(ソロが)30(作)に到達する」と、3枚同時リリースを決めた。

 一番のポイントは曲数だ。毎年100曲を目標に曲を書くが、多忙もあり「70とか80曲くらいで挫折する」。ところが昨年はコロナ禍で3月以降ライブが無く時間ができ、初めてクリアできた。

 次の壁がレコーディング方法だった。コロナ禍でニューヨーク録音を断念、日米間でのリモート制作に挑戦することになった。

 「向こう(NY)には骨格が分かる程度の状態で渡します。最初にNYのミュージシャンがレコーディング。ファイルを送ってもらって、東京で僕がドラムを入れて、アレンジしたさまざまなパーツを加えて送り返す。その時点からミックス作業が始まって、1曲できるごとにリファレンスが送られてくる。(要望を)メールで投げて、反映されたものが送られてきて」

 「28」はファンキーでブルージー、「29」はラテン系と、神保の柱であるファンクとラテンを踏まえているのに対し、「30」は「色んな方向性を向いた曲が入っている」。

 「28」はマイク・スターン(ギター)のツアーで共演し、演奏にも人柄にも好印象を抱いたエドモンド・ギルモア(ベース)と、前作で共演したオズ・ノイ(ギター)を起用。2人が親しいこともあり、「バッチリでしたね」と、狙い通りの仕上がりとなった。

 「29」では初顔のシルヴァーノ・モナステディオス(ピアノ)、リッキー・ロドリゲス(ベース)を起用。前者とはzoom会議をしたが、後者とはメールだけで会わないままと、まさにコロナ時代、ネット時代の作業となった。「今までのソロアルバムの流れを一番くんでるかな。メロディアスで、わりとストレートな楽曲が多い」と説明する。

 「30」は「パソコンでトラックを作って、それに合わせてドラムをたたいた。色んなアイデアがちりばめられてるアルバムにしたかった。新種のテクノみたいな感じで聴いていただけたらうれしい」という、ジャンルレスな作品になっている。

 今回「リモートはリモートの良さがある」と感じたといい、「相手は反応しないから、自分がどういうふうにアプローチしていけばいいのか、すごく考える。引き出しの全部を一通り使うことができた」と説明する。

 同時に合奏しないため、「ちょっとヨレたようなリズムっていうのはヒップホップの世界ですごく進化してきている。それを試すいい機会だなと思って、ハズせるところはなるべくハズそうみたいな意識で臨みました」という手法も使えた。

 新しい音にもどん欲だが、それを支えるのがテクノロジーだ。気になるものはYouTubeで探り、ドラム関係のインスタグラムで若い演奏家の動画を研究。「面白いなと思うものを自分なりにもう一ひねり加えてみる」と、最先端への目配りを怠らない。

 ステイホーム下でライブ配信「OUCHI DE JIMBO」も開始。「(チャットに)ライブとは違った“つながってる感”みたいなのがある。配信は孤独な作業なのかなと思っていたら、ちゃんと向こうにお客さんがいるんだって実感できるのも新たな発見だった」と、新世界を切り開いている。

 3枚同時リリース達成で「これだけやれる、力がついたんだっていう自信にはつながりましたね」と進化を自覚。30周年を迎えている櫻井哲夫とのユニット「ジンサク」の「新作が出ます」とも予告しており、この後も驚かせてくれそうだ。

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