坂本スミ子さん 死去…「夢であいましょう」主題歌「楢山節考」主演 脳梗塞、84歳

 NHKのバラエティー番組「夢であいましょう」の主題歌を歌い、映画「楢山節考」に主演した歌手で女優の坂本スミ子(さかもと・すみこ、本名石井寿美子=いしい・すみこ)さんが23日午前3時35分、脳梗塞のため熊本市の病院で死去した。84歳。大阪市出身。葬儀は近親者で行う。喪主は長女で歌手の石井聖子(せいこ)。

 圧倒的な歌唱力、表現力で歌手として俳優として数々の名作を残したおスミさんが天国に旅立った。

 坂本さんは高校卒業後、NHK大阪合唱団を経て、フリーのラテン歌手としてデビュー。1959年にトリオ・ロス・パンチョス日本公演で共演し「ラテンの女王」として脚光を浴びた。61年からは「夢であいましょう」に出演し、主題歌も担当。NHK紅白歌合戦には61年から5年連続で出場した。「たそがれの御堂筋」、「夜が明けて」などのヒット曲がある。

 俳優としても才能を開花させた。63年の「昭和侠客伝」、64年から田宮二郎主演の「犬シリーズ」などの映画に出演。66年には今村昌平監督の「『エロ事師たち』より 人類学入門」で好演した。

 代表作となったのは、83年にカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いた今村監督の「楢山節考」。姥捨伝説を素材にした同作で、当時40代の坂本さんは、実年齢では1歳しか違わない緒形拳さん演じる息子に山に捨てられる70歳の老母を好演。健康な歯を食糧不足の村での恥と受けとめ、石でわざと折ろうする役柄のため、歯を4本短く削って役に臨んだことでも話題となった。

 カンヌ映画祭では会場で日下部五朗プロデューサーと共にトロフィーを受け取る栄誉も。日下部さんは「坂本さんは、小柄な体を震わせながら感動していました」とデイリースポーツの連載で振り返っている。

 凱旋帰国した成田空港では、大麻取締法違反で書類送検されていたことが明るみになり、世間を騒がせた。

 95年からは義母の後を継いで、熊本市で保育園の園長に。熊本に在住しながら、ライブを中心に歌手と女優業を続けた。

 ◆坂本スミ子(さかもと・すみこ)本名・石井寿美子。1936年11月10日生まれ。NHK大阪合唱団を経てフリーのラテン歌手となり、「たそがれの御堂筋」「夜が明けて」がヒット。NHKのバラエティー番組「夢であいましょう」の主題歌を歌い、紅白歌合戦にも出場した。女優としても活躍し、代表作に映画「『エロ事師たち』より 人類学入門」、主演作「楢山節考」。熊本市の幼稚園で園長も務めていた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス