池田エライザ「いつかたどり着くんだ」初監督映画4日公開 「好きだから」表現者

 女優の池田エライザ(24)が初監督を務めた映画「夏、至るころ」が、コロナ禍での延期を経て、4日に公開を迎える。製作陣からのオファーを受けてメガホンを取った同作では、キャスティングから演技指導まで一から映画作りに携わり、初監督ながらも迷いのない堂々たる演出で現場をまとめ上げた池田。女優、モデル、歌手、映画監督と多才な顔を持つ24歳が表現を諦めない理由とは-。

 駆け出し時代からの夢がついにかなった。2011年の女優デビューから数々の作品でヒロインやキーマンを演じてきた池田。監督業の夢を語ったインタビューが製作陣の目にとまり、今回の監督オファーが届いた。

 「昔からクリエーティブなことが好き。そういうところにいつかたどり着くんだろうなと思っていた。映画に0から100まで携わりたくて、監督をやりたい気持ちは昔からありました」

 同作は福岡県田川市を舞台に、高校3年生の翔(倉悠貴)と泰我(石内呂依)が意見をぶつけながら未来を考える夏の青春物語で、リリー・フランキーや高良健吾らもキャストとして名を連ねた。

 女優としてではなくあくまで“池田エライザ監督”として現場に向かった。「彼らがどういう過程でその芝居をしているのか見極めるようにした。役者の先輩だから遠慮するということはなかった。気にしている暇がなかった」。初監督という看板に物おじしない演出で現場をまとめた。

 応募総数2012人のオーディションで発掘した新人の石内が主人公の一人を熱演。青春映画らしく作品には感情をむき出しに怒りや悲しみを表現するシーンが存在する。演技経験ほぼゼロの新人に監督としてどのように寄り添ったのか。

 「若い子の方が説明が付かない感情が多いので、私がそれを全部分解して伝えたらナンセンス。彼らから聞いた原体験をベースにたとえ話をして、どういう感情になったか聞いた。心地よいところでいいんじゃないかと話しました」

 演技に対峙する新人の姿に駆け出しの頃の自分を重ねた。フィルムを通して「人の感情の豊かさが広がる瞬間に立ち会えてうれしかった。人間はすごく複雑で難解で可能性に満ちあふれている。大きなカメラでささやかな気持ちを閉じ込めることは美しい」。映画の魅力を再発見した。

 芸歴12年。数々のステージをこなしてきたが、自身を「性格的に表に立つのは向いていない。ただ名前と顔が派手なだけ」と分析する。それでもなお、女優、モデル、歌手、映画監督と表現の世界に身を置く理由は何なのか。

 「現場はすごい泥臭くて、ちやほやしてもらえるわけじゃない。お金を稼ぎたいなら芸能界をやっていない。作品を作っている時は世の中が少しでも明るく元気になればと思っているし、好きだからやっている。これに尽きるのかもしれないですね」

 何者にでもなれる表現に魅了された24歳。伝えたい思いを昇華させて、今後も作品作りにいそしんでいく。

 ◇池田エライザ(いけだ・えらいざ)1996年4月16日生まれ、福岡県出身。日本人の父とスペイン系フィリピン人の母を持つハーフ。09年にファッション雑誌「ニコラ」のオーディションでグランプリを獲得し、同誌でモデルデビュー。11年に「高校デビュー」で映画デビューを果たし、13年に旧芸名「池田依來沙」から現在の芸名に改名。17年に「一礼して、キス」で初主演した。音楽番組で歌声を披露し、SNS上で歌唱力の高さが話題になっている。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス