「また逢う日まで」「木綿のハンカチーフ」「魅せられて」「サザエさん」など、幅広い世代に愛される名曲を手掛けた、作曲家の筒美京平（つつみ・きょうへい、本名渡辺栄吉＝わたなべ・えいきち）さんが今月７日に誤嚥（ごえん）性肺炎のため、都内の自宅で死去したことが１２日、分かった。８０歳。東京都出身。葬儀は近親者で行った。喪主は妻善子（よしこ）さん。「お別れ会」は現状、予定されていない。

　フジテレビ系アニメ「サザエさん」のテーマ曲を歌う歌手・宇野ゆう子（７３）が１２日、デイリースポーツの取材に応じ、恩人である筒美さんの死を悼んだ。

　宇野は、出会った１９６０年代後半のことを「よく覚えています」と回顧。子ども用の音楽の録音を行っていた際に突然、筒美さんがスタジオに現れ、譜面を渡されて“歌唱テスト”をされたという。「知らない曲だったんですが、ほんの２、３分で『うん、分かった』っておっしゃられて…。その時は、私か由紀さおりさんかのどちらかで迷われていたとお聞きしました」と明かした。

　その後、筒美さんと直接会うことはなかったが、「ちょっと小柄でしたけど、ダンディーな方で…。雰囲気のある方だなと思っていました」と、印象は強く残っている。最近については「ずっとハワイにお住まいだということは聞いていました」という。

　現在はシャンソン歌手として活動しているが「必ず『サザエさんの歌』は入れてくれと言われます」としみじみ。「日本中の方がみんな知っていて、歌って下さる曲。私にとっても宝物。私を使って下さって心から感謝しています」と話した。

　同局は「サザエさん」の公式ＨＰで「今でも変わらず番組に彩りと元気を与えてくれる素晴らしい楽曲」と感謝の言葉を掲載した。