内田樹氏 政府は「国民のやる気なくさせる」政治的効果狙っている…統治コスト最小化

 神戸女学院大学名誉教授で思想家の内田樹氏が11日、ツイッターに新規投稿。日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題について、「中央政府の統治コスト」の観点から分析した。国民の権利意識を薄めることによって政治に無気力にさせ、「統治コストは最少化できる」と企図しているという。

 内田氏は「日本では60~70年代の高度成長期に『一億総中流』を達成しました。でも、分厚い中産階級が出現すると同時に、権利意識が高まり、労働運動、学生運動、市民運動が活性化し、革新自治体も全国に広がりました。国民が豊かで元気だったこの時期に中央政府の統治コストは最大化したわけです」と昭和の高度成長期を振り返った。

 内田氏はまた、「その時に日本のエスタブリッシュメントはこの歴史的教訓から『国民を二極化して、中産階級をふたたび貧困層に没落させ、国民の権利意識を薄め、政治組織政治運動への倦厭感を広めれば、統治コストは最少化できる』ということを学習したのでした」と分析した。

 さらに内田氏は「だから、今行われている『すべての公的セクターを権力への忠誠度に基づいて格付けする』という政策は『国民のやる気をなくさせる』という政治的効果を狙ったものだと言えます。政治活動のみならず、経済活動も、文化活動も全領域で『元気がない国民』は統治コストがまったくかかりませんから」と国民が無気力になればなるほど統治コストが減少すると指摘。

 続けて「もちろん、そんな国は国力が衰微して、遠からず先進国グループから脱落して、『独裁・ネポティズム』国家になるわけです」とも指摘。その上で「けれど、既得権享受者たちは『それでもいい』と思っている。これまで蓄積してきた国富は自分たちの懐にねじこんでもおつりがくるくらいあるから」と自己保身に走っているともつづった。

 また、内田氏は「日本が滅びたら『そのときはハワイかシンガポールに引っ越せばいい。別にオレの生活変わんないし』というようなことを広言する人たちがだんだん増えてきました。亡国の徴候です」と危ぶんだ。

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