藤井新棋聖 タイトルや記録を超越した「神の視座」を求めているのか

史上最年少でのタイトルを獲得した一夜が明け、会見する藤井聡太新棋聖=関西将棋会館(撮影・北村雅宏)
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 16日に大阪市の関西将棋会館で行われた第91期棋聖戦第4局に勝利し、17歳11カ月の史上最年少タイトル獲得を成し遂げた将棋の藤井聡太棋聖(17)が、快挙から一夜明けた17日、同所で記者会見を行った。晴れやかな表情で登場した藤井棋聖は、色紙に「探究」という文字を揮毫(きごう)。将棋について「まだまだ分からないことばかり」と語り、今後のさらなる成長を誓った。

  ◇   ◇

 藤井棋聖が見せた色紙の文字を見て、3週間前の記憶がよみがえった。6月28日の棋聖戦第2局。立会人を務めた、最年少タイトル記録の“前任者”である屋敷伸之九段(48)に藤井将棋の強さの神髄をたずねたところ「探究心と心の強さ」との回答を得たからだ。

 探究心の一端をのぞかせたのが、前夜の終局直後の会見。今シリーズで最も印象に残った一局を問われると、初挑戦を白星で飾った第1局でも、歴史的会心譜と絶賛された第2局でも、タイトルを獲得した第4局でもなく、唯一敗れた第3局を挙げた。

 その理由が「こちらが気がつかない好手を多く指されて、非常に勉強になった」。そう言えば、藤井棋聖からタイトルや記録など、具体的な目標を聞いたことはほとんどない。勝利よりも成長に喜びを感じる姿勢は、もはやタイトルや記録を超越した「神の視座」を求めているのではないかとすら感じた。

 この日も、誰もが達成できない記録を次々と打ち立てている中で「この立場になっても、まだまだ分からないことばかり」と将棋の難しさを語り、満足感は一切漂わせなかった。誰もが称賛する藤井棋聖の謙虚さとは、ある意味、誰にもまねのできない“欲深さ”に裏付けられているのかもしれない。(デイリースポーツ囲碁将棋担当・福島大輔)

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