上原ひろみ 音楽は「まさに魔力」世界的ジャズピアニスト 4年ぶり東京ジャズに

 世界的なジャズピアニストの上原ひろみ(40)が、19回目を迎える国内最大級のジャズフェスティバル「TOKYO JAZZ +plus」(5月22~24日、東京・NHKホールなど)に、4年ぶりに出演する。昨年、10年ぶり2枚目のソロピアノアルバム「Spectrum」を発表し、東京ジャズにも2009年以来のソロで出演する上原がデイリースポーツのインタビューに応じ、新作、フェス、そして音楽への思いを語った。

 なぜ今、ソロなのか。上原は「ピアニストとして自分が今どういうことができるのかという、客観的に自分を見るということ、それにピアノと一対一で対じする上でとても重要なセッティングがソロピアノだなと思うので、定点観測として10年に一度は最低ソロ作品を出したいな」と、その理由を述べた。

 アルバムタイトルは、太陽光をプリズムに通すとできる7色の帯のこと。楽曲にも色の名前が入っているものが多い。「ピアニストとしての成長の一つとして音色が豊かになるということがあって、いちピアノ弾きとしてピアノと向き合ってきた年数で培ってきた、パレット上の音色というのを表した作品にしたいな」という思いからだという。

 その言葉通り、自作、ザ・フーとジョン・コルトレーンの楽曲を組み込んだジョージ・ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」、ビートルズ「ブラックバード」などで構成された本作は、豊かな色彩を感じさせる。

 「色んな色をテーマにした曲を集めて、ピアノという楽器の可能性だったり魅力っていうものを伝えられたらなと思って作ったので。自分がピアノと戯れてきた時間というものは感じてもらえる作品になったかな」

 上原はデビュー翌年の04年、早くも東京ジャズに初出演している。「すごくたくさんのお客さんの前で演奏するっていうことも含めて、その一体感というか、フェスならではのエネルギー、お客さん側からのエネルギー」を感じたという。演奏する側と聴く側から、フェスの楽しみを次のように語る。

 「出会ったことがないリスナーの方と出会うきっかけだなあと思いますし、見る側としても、生で見たことのないミュージシャンを見るきっかけだったりとか、出会いというものがとても大きい」

 メイン会場の出演者の中でもジャズの巨人ハービー・ハンコック(79)とは初出演時に共演した間柄だ。当時の上原は前年にデビューした新人とあって「あの時は『本物だ』って感じでしたね」と振り返る。開催時には80歳になるハンコックだが、ステージでも作品でも健在ぶりを発揮している。

 「おととしかな、フェスで一緒でしたけど、元気で、ショルダーキーボードしてジャンプしてましたからね。驚異の80歳。ホントにジャズをずーっとやられてる方って、80歳にしてもなお、ちゃんと未来を見ている感じがする。晩年なんていう言葉はないんでしょうね、彼らには。永遠にナウですよね」

 上原の年齢はハービーの半分だ。

 「誰かに聴いたか忘れちゃったんですけど、ジャズの世界では50でキッドになるから、それまではベイビーだって。ハービーとか、ステージに立ってる時、80歳でもホントにキッドみたいな顔をしてるんですよね。ホントに音楽が好きっていうその一心でやってるのを感じるので」

 その言葉、そのまま上原にも当てはまりそうだが、自身も「そうですね、音楽は最高に楽しいです。だって、やればやるほど楽しいので、毎年楽しさが増していく」と認める。「うまくいかない時っていうのはもちろんあります」というが、「やりたくないっていうことはないですね」ともいう。

 それは音楽、ピアノの「まさに魔力です。ホントにマジックだと思います」。アルバムを受けた構成のステージになるという東京ジャズでも、上原はそのマジックを聴かせてくれるはずだ。

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