降旗康男監督逝く 肺炎 84歳 岡田准一主演16年「追憶」撮了後にパーキンソン病

 映画「網走番外地」シリーズ、「駅 STATION」、「鉄道員(ぽっぽや)」など高倉健さんと組んで数々の秀作を生んだ映画監督の降旗康男(ふるはた・やすお)さんが20日午前9時44分、肺炎のため東京都内で死去したことが26日、分かった。東映が明らかにした。84歳。長野県出身。葬儀・告別式は生前の故人の遺志により近親者のみで密葬として執り行った。喪主は妻典子(のりこ)さん。16年にパーキンソン病を発症し、映画作りの最前線から離れても次作の構想を練るなど、最後まで監督として走り抜けた。

 高倉さんとの名コンビで、日本映画界に大きな足跡を残した巨匠が静かに旅立った。

 降旗さんは、16年、岡田准一(38)主演の映画「追憶」撮影終了後に、脳の異常により体の動きに障害が現れる「パーキンソン病」を発病した。療養生活を送る中で今年4月中旬に体調を崩して入院。肺炎を患い、回復しないまま、今月20日に帰らぬ人となった。

 関係者らによると、降旗さんは最近まで次回作の構想を練っていた。降旗さんとは「駅 STATION」以来、40年近くの付き合いだったカメラマンで映画監督の木村大作氏(79)は、今年2月に都内で新作について打ち合わせをしたことを明かした。

 通夜・告別式は、生前の個人の意志で無宗教の形で執り行った。周囲には「死んだら無なんだから、何もしなくていいよ」と話していたという。祭壇には、愛飲していた日本酒「久保田 千寿」、愛用のめがねと時計が供えられ、大好きだったポルトガル民族歌謡「ファド」が流れる中、静かに旅だった。

 降旗さんは、57年に東京大学文学部フランス文学部卒業後、東映に入社。66年に「非行少女ヨーコ」で監督デビューした。高倉健さんと組んだ「網走番外地」シリーズや、菅原文太さん主演「現代やくざ」シリーズなどを手がけた。74年に東映を退社後は、フリーとして活動した。

 フリー転身後には山口百恵主演の「赤い-」シリーズなどテレビドラマの演出も手がけた。しかし78年に、高倉さん主演「冬の華」の監督の話が舞い込み、テレビの仕事から再び映画界に。06年公開の「単騎、千里を走る。」では中国の張芸謀(チャン・イーモウ)監督とも仕事をともにした。

 高倉さんとは「あなたへ」(12年)まで20作でタッグを組んだ盟友だった。「鉄道員」では高倉さんがモントリオール国際映画祭主演男優賞を受賞。同作は日本アカデミー賞でも最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞した。降旗さんは08年には旭日小綬章を受章した。

【上】中国上海市の映画館に設置された高倉健さん主演の「鉄道員」のパネルにサインする降旗康男監督=15年6月(共同) 【下】映画「あなたへ」のレッドカーペットで。(左から)ビートたけし、高倉健さん、田中裕子、

長塚京三、降旗監督=12年8月21日

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