岩手から来た4兄弟バンドSaToMansion 新作は「壁をぶち壊すアルバム」

 岩手県出身の世界的にも極めて珍しい4兄弟バンド「SaToMansion」が先月、2年ぶり2枚目のニューアルバム「the garden」をリリースした。中森明菜の名曲「少女A」をカバーするなど、バンドの個性をあらわにした新作について、作詞作曲とボーカルを担当する三男・佐藤和夫(31)は「自分らで作っていた壁をぶち壊すアルバム」と、手応えを明かした。

  ◇  ◇

 佐藤は「やっとファーストアルバムが出せた、みたいな感じがしています」と打ち明けた。

 デビューアルバム「the room」は2016年9月発表。初ライブが同年1月で、アルバムを制作したのは結成わずか3~4カ月という時期だっただけに「前身バンドでやろうとしていた曲や僕のソロでやった曲が3~4割まじって」おり、「今聴いても青い」と苦笑する。

 翌17年、CS放送テレ朝チャンネルの「ROAD TO EX」に参戦。100組以上のバトルでファイナル3組に残った。ファンではない観客に「いいと思わせ、票を集めなければならない」シビアな状況で、「ライブパフォーマンスのやり方、一番いい楽曲のアレンジなど、ファン以外にどうやったら突き刺すことができるか」を全員で「突き詰めた1年」だった。

 その収穫を「全部詰めよう」と臨んだ新作で、まず目を引くのは「少女A」だろう。バンドをバックアップしている盛岡のライブハウスのオーナーに「歌謡曲の芯があるロックンロールというバンドの個性を一発で表せるのはカバー」と助言されたのがきっかけだ。

 和夫自身、ハイ・スタンダード、ミッシェル・ガン・エレファント、Mr.Childrenといったロックバンドを通る一方で「歌謡曲は昔からずっと聴いていて、10代後半から20代前半は聴きあさってました。みんなが聴いていないものじゃないといけないという意識があった」という。中でも明菜、山口百恵、沢田研二、さだまさし、チューリップらが好きだった。

 その魅力を、和夫は「歌詞がわかりやすく、絵が浮かぶような歌詞もある。アレンジはかなり生演奏ですごく計算されていて勉強になりました」と説明。

 「生音とロックバンドはすごくつながる。アレンジが細かく計算されているのはメンバー全員が感じていて。ストレートでかっこよく聴かせるためには、逆に計算してアレンジを作らないといけない」と、歌謡曲からの影響をバンドに落とし込んできた。今回「少女A」を選んだのは「10代のティーンエイジャースピリッツにぴったりはまる、なじみのある8ビートの曲」という理由からだ。

 また、アルバムの顔といえるオリジナル楽曲が「シャイン」で、「一番(力を)注いだ。自分の人生、今歩いている場所がすごくリアルに表現できた」と自信をのぞかせた。

 メロディーができた時点で「これは相当いいな。何も飾らず(歌詞を)当てはめてもかっこよくなるんじゃないか、それくらい自信あって」と手応えを感じたが、歌詞には「相当悩んだ」という。

 「置かれている状況、自分の弱いところ、弱音も全部乗っけちゃう。裸の言葉、ありのままという感じの、一番伝わりやすいストレートな歌詞」ができて楽曲が完成。「メインの道が決まったので、これができてからは他の楽曲がすんなりいった」と、アルバム完成までこぎ着けた。

 現在、バンドはレコ発ツアー中。ファーストの「部屋」からセカンドの「庭」に進んだアルバムタイトルのように「自分らで作っていた壁をぶち壊した」4兄弟は、新たな段階に突入した。

 【ツアー日程】

 ◇11日=神戸・太陽と虎

 ◇15日=盛岡・Club Cnange

 ◇18日=水戸・LIGHT HOUSE

 ◇20日=千葉・LOOK

 ◇1月12日=大阪・Fireloop

 ◇1月13日=名古屋・CLUB UPSET

 ◇1月26日=いわき・club SONIC

 ◇1月27日=仙台・FLYING SON

 ◇2月2日=下北沢・SHELTER

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