杉真理 40周年と大滝詠一さん、須藤薫さんを語る(後)

 昨年、デビュー40周年を迎えたシンガー・ソングライターの杉真理(64)が、今月12日から18日まで、モーメント・ストリング・カルテット(中村響子、谷口いづみ、飯田香、郷田祐美子)とツアー「杉真理デビュー40周年&Moment String Quartet結成10周年記念!杉真理 with Moment String Quartet 2018 Spring」を行っている。

 14日の神戸チキンジョージ公演は一夜限りの「大滝詠一&須藤薫トリビュートスペシャル!」として、杉の音楽人生を語る上で欠かせない今は亡き2人のアーティスト、大滝詠一さんと須藤薫さんの楽曲にほぼ絞って行われた。終演後の杉に、40周年と大滝さん、須藤さんについて話を聞いた、その後編をお送りする。

  ◇  ◇

 杉は大滝さんに、名盤「ナイアガラ・トライアングルVol.2」(1982年)に佐野元春と共に抜てきされて、薫陶を受けている。大滝さんとも縁の深い歌手の須藤さんには、杉は提供曲の対象としては最も多い約30曲を書き、プロデューサー、アレンジャーとして多くの須藤作品に参加。デュオ作品も多数発表している。

 -大滝さんと須藤さんは、杉さんにとってどんな存在でしたか。

 「薫ちゃんは一番曲を書いてるんで、僕はソングライティングとかコーラスワークを彼女の曲作りを通して勉強させてもらったし、チャレンジさせてもらった感があります。

 大滝さんには、堅く言うと音楽への取り組みへのしかた(を学んだ)。大滝さんって他に例がないくらいの変わり者ですけども。理屈じゃなく、感覚、勘を優先して、でも勘を優先させるためには理論武装もしなきゃいけないのが大滝さんだと僕は思ってるんです。理屈と勘のバランスがバランスが絶妙。でも基本的にあるのは勘なんですよね。

 大滝さんは楽典とか全く勉強してないし譜面も弱いし-弱いっていうか、勉強する気なかったんでしょうね。それは僕と似てるんですよ、師匠として。僕も譜面相変わらず弱いし、いまだに勉強する気になれないし。僕の師匠はビートルズですから。ビートルズが譜面強いわけがない。ボイストレーナーにも行かない!ビートルズは(笑い)」

 -今日は大滝さんと須藤さんの楽曲を全面的にフィーチャーしたライブでした。須藤さんと大滝さんの曲をステージで歌うことで、どのようなことを感じますか。

 「歌ってみてああ薫ちゃんうまかったんだなあって思いますし。薫ちゃんだから(自分も)ああいう曲でも作れたのかなあみたいな。大滝さんは声がすごい。プロデューサー、作曲家でグレートな人ですけども、ボーカリストとして大滝さんのあの声は反則ですよね」

 この3月で64歳になった杉だが、その活動はますます精力的だ。

 「僕けっこういろんなユニットをやっていて、ブレバタ(ブレッド&バター)の(岩沢)幸矢さん、鈴木雄大、TORAちゃん(平澤成基)、遠藤響子とコーラスグループ(SACHA KNITZ)をやってるんですけど、連休は初日(5月1日)がそれを東京でやって、2、3(日)と大阪でうちの息子(ドラマーの杉未来)と一緒にやってる紅茶キノコってバンドでやって、帰ってきて5日に、そのグループにブラスセクションを入れて吉祥寺の駅前でやったんですよ。次の日(6日)違うコーラスグループ(SACHA KNITZ)で福岡行ってやって。帰ってきて即この練習ですよ」

 -頭を切り替えるだけでも難しそうです。

 「切り替えっていうか、あさってのことぐらいしか頭の中に入ってない。音楽は重婚しても許される」

 モメカルとのツアー後も、6月16日に東京でライブイベント「LIVE Light Mellow Vol.1」に、同20日にはチキンジョージの人気イベント「長江健次cafe」の東京公演に出演する。

 7月2日には親交が深かったシンガー・ソングライターの故村田和人さんが亡くなる直前まで制作していた未完成アルバムを杉や村田バンドら音楽仲間が完成させた「ド・ピーカン」が発売され、同日に神戸、3日に京都、4日に東京で発売記念ライブを開催。同16日には松尾清憲、渡辺格とのライブを鎌倉で行う。

 そのエネルギッシュさは、まさしく目標とするポール・マッカートニーのようだ。

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